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下級裁

(事件名なし)

判決データ

事件番号
平成29ラ246
事件名
(事件名なし)
裁判所
福岡高等裁判所
裁判年月日
2019年7月10日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
山之内紀行
原審裁判所
佐賀地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、九州電力株式会社が設置する玄海原子力発電所3号機・4号機の運転差止めを求めて、周辺住民(主として佐賀県・福岡県に居住する抗告人ら)が人格権または環境権に基づいて仮処分を申し立てた事案の、即時抗告審である。平成23年の福島第一原発事故後、原子力規制委員会は新たな規制基準(いわゆる新規制基準)を策定し、各原発はその適合性審査を受ける必要が生じた。玄海原発は平成29年1月に新規制基準に適合するとの判断を受け、本件3号機は平成30年3月に運転を再開していた。 原審(佐賀地裁)は、環境権については実体法上独立の差止請求の根拠たり得ないとした上で、人格権に基づく差止請求についても、本件原子炉施設の安全性に欠けるところはないとして申立てを却下した。抗告人らはこれを不服として、基準地震動策定の合理性、配管の安全性、そして抗告審で追加した火山事象による影響の危険性の3点を争って即時抗告した。とりわけ火山事象については、原発から半径160km圏内に阿蘇、姶良、加久藤・小林、阿多、鬼界という5つのカルデラ火山が存在することから、破局的噴火の可能性を踏まえれば立地自体が不適であると主張された。 【争点】 (1) 基準地震動策定の合理性——地震モーメントを推定する入倉・三宅式や、短周期レベルを求める壇ほか(2001)の式が地震動を過小評価しているか。経験式のばらつきが適切に考慮されているか。 (2) 配管の安全性——平成30年3月に発生した2次系脱気器空気抜き管からの蒸気漏れ事象を踏まえても、技術基準規則18条適合性の疎明がなされたといえるか。 (3) 火山事象による影響の危険性——立地評価において、5カルデラ火山の破局的噴火の可能性が十分小さいと評価できるか。影響評価において、降下火砕物の最大層厚を10cm、乾燥密度を1.0g/立方cmと設定したことが過小評価でないか。 【判旨】 本件各抗告をいずれも棄却。 福岡高裁は、原発差止請求事件における司法審査のあり方について、伊方原発訴訟最高裁判決の枠組みを踏まえ、新規制基準に不合理な点がなく、かつ電力会社による基準適合性判断に不合理な点がないことを、電力会社側が相当の根拠と資料に基づいて主張・疎明すれば、人格権侵害の具体的危険は認められないとの基準を示した。 争点(1)については、入倉・三宅式および壇ほか(2001)の式は地震本部レシピにおいて採用されており、その使用自体に不合理な点はなく、経験式のばらつきについても相手方は安全側の評価を加えているとして、抗告人らの主張を退けた。争点(2)については、蒸気漏れを起こした脱気器空気抜き管は技術基準規則18条1項の対象機器に該当せず、保全重要度に応じた点検は適切に実施されていたとして、適合性の疎明が否定されるものではないとした。 争点(3)については、火山ガイドの定める立地評価および影響評価の枠組み自体は合理性を有し、相手方が5カルデラ火山について、破局的噴火の活動間隔、噴火ステージ、地下のマグマ溜まりの状況を総合的に評価して本件原子炉施設の運用期間中の巨大噴火の可能性が極めて低いとした判断にも不合理な点はないと認定した。阿蘇カルデラにおけるマグマ溜まりの存在を指摘する須藤ほか(2006)の知見を踏まえても、マグマの大部分は流動できない状態にあり、VEI6程度の噴火が運用期間中に発生することが相応の根拠をもって示されているとはいえないとして、降下火砕物の最大層厚10cmという評価の合理性も肯定した。 以上から、本件原子炉施設の安全性に欠けるところがあり、放射線被ばくにより抗告人らの生命・身体に直接的かつ重大な被害が生ずる具体的危険があるとは認められないとして、原決定を維持し、抗告を棄却した。本決定は、原発訴訟において火山事象による影響が正面から争点化された初期の高裁判断の一つとして、後の司法判断にも影響を与えた先例的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。