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下級裁

著作権に基づく差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ466
事件名
著作権に基づく差止等請求事件
裁判所
奈良地方裁判所
裁判年月日
2019年7月11日
裁判種別・結果
棄却

AI概要

【事案の概要】 現代美術作家である原告は、遅くとも平成12年12月頃までに、公衆電話ボックスを模した造作物の内部に水を満たし、金魚を泳がせるとともに、内部に設置した公衆電話機の受話器から気泡を発生させるという美術作品(原告作品)を制作し、「メッセージ」と題する連作の一つとして各地で展示してきた。 他方、平成23年10月、京都造形芸術大学の学生団体「金魚部」が、公衆電話ボックスの部材を使った同種の造作水槽作品「テレ金」を制作・展示し、平成25年10月には大和郡山の地元有志「金魚の会」がこれを「金魚電話」として承継・展示した。原告はいずれの展示に対しても抗議を行っていた。その後、地域活性化団体「A」の代表者である被告Bが本作品を承継し、平成26年2月22日頃、奈良県大和郡山市内の商店街に設置した(被告作品)。管理主体はその後、地元協同組合である被告組合に移転した。 原告は、被告作品が原告作品を複製したものであり、複製権、同一性保持権及び氏名表示権を侵害するとして、被告組合及び被告Bに対し、著作権法114条1項・2項に基づく被告作品制作の差止め及び水槽・公衆電話機の廃棄を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償として、使用料相当額100万円、同一性保持権・氏名表示権侵害による慰謝料各100万円、弁護士費用30万円の合計330万円及び遅延損害金の連帯支払を求めて本訴を提起した。 【争点】 主な争点は、①原告作品の著作物性、②被告作品による著作権侵害の成否(具体的表現の同一性及び依拠性)、③差止めの必要性、④損害額である。とりわけ、公衆電話ボックス内に金魚を泳がせ、受話器から気泡を発生させるという表現が、著作権法上保護される「表現」に該当するか、それとも保護対象外の「アイディア」にとどまるかが中心的な争点となった。 【判旨】 奈良地裁は、原告の請求をいずれも棄却した。 まず原告作品の著作物性につき、著作権法2条1項1号の定義を踏まえ、アイディア自体や、アイディアを実現する方法の選択肢が限られる場合の表現は保護対象外であると確認した。その上で、原告作品の基本的特徴として、①公衆電話ボックス様の造形物を水槽に仕立てて内部で金魚を泳がせる点、②公衆電話機の受話器部分から気泡を出す仕組みの2点を抽出。①について、日常的な公衆電話ボックスに金魚が泳ぐ非日常を織り込むという発想は斬新で独創的であるものの、あくまでアイディアにすぎず表現それ自体ではないと判断した。②についても、水中への空気注入は金魚飼育に必須であり、公衆電話ボックス内の物から気泡を発生させるには穴の開いた受話器を用いることが合理的かつ自然な発想であって、アイディア実現の方法が限られる以上、創作性は認められないとした。 もっとも、造作物の色・形状、内部の公衆電話機の種類・色・配置等の具体的表現には作者独自の思想・感情が表現されており、その限度で著作物性を認めた。 次に侵害の成否について、原告が同一性を主張する「公衆電話ボックス様の水槽内で金魚を泳がせる」「受話器から気泡を発生させる」との点はいずれも保護の及ばないアイディアに対する主張であり、理由がないとした。加えて具体的表現を検討しても、両作品に共通するのは二段の棚板の上段に公衆電話機を設置している点(公衆電話ボックスの一般的構造に必然的に生じる表現)と、受話器が水中に浮かぶ点のみであり、他方で屋根の色(黄緑色様/赤色)、公衆電話機の色・型式、棚板の色・形状(正方形/三角形)等の具体的表現は相違している。これらを総合すれば、被告作品から原告作品を直接感得することはできず、同一性は認められない。 よって、依拠性や損害額を判断するまでもなく、著作権侵害は成立しないとして原告の請求を全て棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。