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下級裁

覚せい剤取締法違反

判決データ

事件番号
平成30う1849
事件名
覚せい剤取締法違反
裁判所
東京高等裁判所
裁判年月日
2019年7月16日
裁判種別・結果
破棄自判
裁判官
朝山芳史伊藤敏孝平出喜一
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、被告人が平成29年11月上旬頃から同月15日までの間、東京都内またはその周辺において覚せい剤を自己の身体に摂取したとして、覚せい剤取締法違反(使用)で起訴された事案である。 事件の発端は、平成29年11月12日未明、警察官が後部ナンバー灯の滅灯を理由に被告人運転の車両を停止させたことにある。無線照会により被告人の薬物犯罪歴が判明したため、警察官らは薬物犯罪の嫌疑を抱き、車内検索や所持品検査を行った。被告人はこれに応じたが、薬物は発見されなかった。 その後の所持品検査の過程で、警察官が着衣の上から被告人の陰部付近を触ったため、被告人は激昂し、「令状を持ってこい」と態度を硬化させた。さらに警察官は、公道上で被告人に対し「パンツの中を見たい。何か隠してる」「中に隠していなければ見せることができるはずだ」などと繰り返し要求し、被告人はこれに応じて公道上でズボンとパンツを膝まで下ろし陰部を露出したが、パンツの中から違法薬物は発見されなかった。警察官らは、これらの経緯を令状請求の疎明資料に記載せず、被告人が腰回りの検査を拒絶したという趣旨の不正確な記載をして、強制採尿令状等の発付を受けた。同月15日、強制採尿令状に基づき採取された尿から覚せい剤成分が検出され、鑑定書が作成された。 原審(東京地裁)は、警察官の取得手続に重大な違法はないとして鑑定書の証拠能力を認め、被告人を有罪とした。被告人が控訴。 【争点】 違法収集証拠排除法則により、被告人の尿の鑑定書の証拠能力が否定されるか。具体的には、(1)警察官が着衣の上から被告人の陰部付近を触った行為の違法性、(2)公道上でパンツを脱ぐよう求めた言動の違法性、(3)これらの事実を令状請求の疎明資料に正確に記載せず、むしろ誤解を招く記載をした点の違法性、(4)これら一連の捜査過程の違法が、令状主義の精神を没却する重大な違法にあたり、将来の違法捜査抑制の見地から鑑定書を証拠排除すべきか、が問われた。 【判旨(量刑)】 東京高裁は原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した。 裁判所はまず、警察官が承諾なく被告人の陰部付近を触った行為について、個人のプライバシーへの配慮を欠き、実質的に無令状で身体に対する捜索を実施したに等しく、職務質問に付随する所持品検査として許容される範囲を超えた違法な行為であると判断した。次に、公道上でパンツを脱ぐよう繰り返し要求した警察官の言動についても、プライバシーが確保された状況で確認するなど他に採り得る手段があったにもかかわらず、緊急性もないまま公道上で陰部を露出させるに至らせた点で、被告人の羞恥心への配慮を著しく欠いた違法なものであると評価した。 さらに、警察官が令状請求の疎明資料に、陰部付近を触った事実や公道上で被告人がパンツを下ろして違法薬物がないことが確認された事実を記載せず、むしろ裁判官の令状審査の判断を誤らせる記載をした点についても違法と認定した。これは先行する手続的違法を糊塗する意図に基づくものであり、原審公判でも警察官が同旨の証言をしていることから、一連の経過は違法に違法を重ねるものであって、令状主義の精神を没却する重大な違法があると断じた。 鑑定書に係る尿は、この一連の違法な捜査過程に基づく強制採尿令状によって採取されたものであり、違法な手続と密接な関連を有し、将来における違法捜査抑制の見地からも証拠として許容することは相当でないとして、鑑定書の証拠能力を否定した。鑑定書を排除すれば覚せい剤使用の事実を認めるに足りる証拠はないため、刑訴法336条により被告人に無罪を言い渡した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。