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行政

過誤納金返還請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成31行コ46
事件名
過誤納金返還請求控訴事件
裁判所
東京高等裁判所
裁判年月日
2019年7月17日
裁判官
川神裕武藤真紀子中雄一朗

AI概要

【事案の概要】 本件は、相続税の農地等納税猶予制度をめぐる過誤納金還付請求訴訟の控訴審である。控訴人は、父Aの相続により農地(本件農地約8830㎡)を取得し、租税特別措置法70条の6第1項に基づく農地等納税猶予の適用を受けていた。同制度は、農業相続人が相続した農地で引き続き農業経営を行うことを条件に、相続税の納付を猶予し、死亡等により最終的に免除する仕組みであり、農地の細分化防止と農業承継の円滑化を図る政策税制である。 控訴人は、従来個人で行っていた農業を法人化し、自ら全株式を保有する本件法人を設立した。これに対し税務署長は、控訴人が本件農地における農業経営を廃止したと認定し、納税猶予の期限確定事実が生じた旨を通知した。控訴人は本件相続税及び利子税を納付した上で、農業経営の廃止はないから納付義務はないと主張し、国税通則法56条1項に基づく還付及び同法58条1項に基づく還付加算金の支払(総額約3億2591万円及び遅延利息相当額)を求めた。原審東京地裁は請求を棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 主たる争点は、控訴人が本件農地における事業としての農業経営を廃止したと評価できるか否かである。具体的には、①本件法人設立後の生産物の販売主体が控訴人と本件法人のいずれに帰属するか、②本件農地が控訴人から本件法人に賃貸されていたといえるかが問題となった。控訴人は、C青果との取引における出荷者番号や振込口座が法人設立前後で変わっておらず、取引実態に変化はないから売上げは控訴人に帰属すると主張し、また本件法人との賃貸借契約に本件農地は含まれていなかったと主張した。 【判旨】 東京高裁は控訴を棄却した。まず生産物の販売主体について、控訴人の法人成りの経緯に照らせば、C青果との取引主体は控訴人から本件法人に変わったが、出荷者番号変更等の事務手続を行わずに従前の番号や口座を利用していたにすぎないと認定した。本件法人が平成26年5月期以降の法人税申告書で農業収入や売掛金を計上し、野菜出荷用段ボールを購入していた一方、控訴人は平成26年分以降の所得税確定申告で職業を不動産賃貸業とし農業収入を計上していなかったことから、遅くとも平成26年1月1日以降、生産物の売上げは本件法人に帰属し、控訴人は販売を行っていなかったと評価した。 次に農地の使用状況について、本件法人が控訴人に支払う賃料の算定資料には本件特例農地等のうち面積の9割超を占める本件農地についての記載があり、αの土地との一体利用を理由に記載の誤りを認めることはできないと判示した。仮にαの土地について賃貸借契約が認められないとしても、本件農地の経営主体は控訴人から本件法人に移行したとみるのが相当であり、控訴人は本件法人が営む農業に従事していたものと評価される。職業を不動産賃貸業と申告し、農作物の販売や相当程度の自家消費の証拠もないことから、控訴人は本件特例農地等において事業としての農業経営を行っていたとは認められず、平成26年1月1日時点で農業相続人の事業としての農業経営を廃止したと評価することができるとした。以上により原判決は相当であり、控訴は理由がないとして棄却された。本判決は、農地等納税猶予制度における「農業経営」の主体判定について、法人成り後の確定申告内容や法人の帳簿処理など外形的事実を重視して判断した事例として実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。