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最高裁

使用料請求事件

判決データ

事件番号
平成30受533
事件名
使用料請求事件
裁判所
最高裁判所第一小法廷
裁判年月日
2019年7月18日
裁判種別・結果
判決・破棄自判
裁判官
小池裕池上政幸木澤克之山口厚深山卓也
原審裁判所
高松高等裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、徳島県にある土地改良区(被上告人)が、鮎喰川の流水をかんがいの目的で占用する許可(河川法23条)を受け、取水した水を幹線水路・支線水路を通じて組合員の農業用用排水路として使用してきた事案である。この水路は、もともと国有の法定外公共物であったが徳島市に譲与され、部分的に同市が修繕工事等を行うものの、全般的な維持管理は事実上土地改良区が担ってきた。土地改良区は、その定款等において、水路に無断で汚水を流すことを禁じ、水路を使用する者は承認を受けて使用契約を締結し、定められた基準で計算される使用料を支払うべき旨を定めていた。 他方、上告人ら(水路周辺の土地建物所有者・居住者)は、公共下水道が整備されていない地域に居住し、し尿等を各自の浄化槽で処理した上で、土地改良区の承認を得ないまま水路に排水を行っていた。土地改良区は、上告人らの排水行為により水路に係る排他的管理権が侵害され、使用料相当額の利得が上告人らに、同額の損失が土地改良区に生じたと主張し、不当利得返還請求権に基づいて使用料相当額及び遅延損害金の支払を求めた。原審(控訴審)は、河川法23条の許可に基づく流水占用権は排他的に流水を占用する物権的な財産上の権利であると解したうえ、土地改良区は水路の流水について排他的管理権を有し、第三者に対し水路への排水を禁止することができるとして、請求を一部認容した。これに対し上告人らが上告受理申立てを行った。 【争点】 河川法23条の許可に基づき流水を占用する土地改良区が、その取水した水が流れる用排水路について、許可の目的を超えて第三者による排水を一般的に禁止し得る排他的管理権を有するか、が争点となった。公水使用権の法的性質と、その効力が及ぶ範囲の限界が問われたものである。 【判旨】 最高裁は、原審判決のうち上告人ら敗訴部分を破棄し、同部分につき被上告人の控訴を棄却した。 公水使用権は、公共用物である公水の上に存する権利であることに鑑み、その使用目的を満たすために必要な限度の流水を使用し得る権利にすぎず(最高裁昭和37年4月10日第三小法廷判決参照)、当該使用目的を満たすために必要な限度を超えて他人による流水の使用を排斥する権限を含むものではない、と判示した。したがって、土地改良区は、河川法23条の許可に基づきかんがい目的で取水した水について、その目的を満たすために必要な限度で排他的に使用する権利を有するとはいえるものの、直ちに第三者に対し水路への排水を禁止することができるわけではない。原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があり、被上告人の請求を棄却した第一審判決が相当であるとされた。 本判決は、公水使用権が私的財産権のような絶対的排他性を有するものではなく、あくまで許可された使用目的の範囲で成立する限定的権利であることを確認した点に意義がある。法定外公共物である水路の維持管理費用をどのように負担させるかは、本来は公法上の管理制度の問題であり、私法上の不当利得請求によって解決することには限界があることを示した判例として位置づけられる。 【補足意見】 小池裕裁判官の補足意見は、本件水路が古くから組合員により農業用用排水路として使用され、組合費を徴収する土地改良区が事実上全般的な維持管理を担ってきた一方、組合員ではない上告人らは特段の費用を負担せず排水を行っている事情に触れ、紛争の根本には、水路の譲与を受けて管理権限を有する徳島市と、実際に維持管理を行ってきた土地改良区との法的関係が明確でないことがあると指摘した。そのうえで、水路の維持管理やその費用負担の在り方については、徳島市と土地改良区との法的関係を明確にしたうえで、法令に基づき整理・検討する必要があると述べた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。