都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3138 件の口コミ
知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10133
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年7月18日
裁判官
大鷹一郎國分隆文筈井卓矢

AI概要

【事案の概要】 本件は,医薬品の有効成分として用いられるキノキサリン-ピペラジン誘導体に関する特許(特許第6097946号)の特許権者である原告らが,請求項1の訂正等を求めて請求した訂正審判について,特許庁が「本件審判の請求は,成り立たない。」とする審決をしたことから,その取消しを求めた審決取消訴訟である。 本件特許は,抗腫瘍活性を有する新規化合物群に関するものであり,請求項1は,キノキサリン環の特定位置に置換基を持つ化合物を化学式で定義するものであった。設定登録時の請求項1本文は「R¹はフッ素であり,R²は塩素であり」と特定した上で,末尾に「ただし,R¹及びR²が同時に水素原子であることはない。」との除くクレーム形式のただし書を付したものであった。 原告らは,平成29年11月,請求項1につき,R²を「塩素」から「水素」に変更する訂正事項2を含む訂正審判を請求した。審査経過では,第1次補正で本文のR¹及びR²の選択肢にハロゲン等を幅広く含める形となり,その際に上記ただし書が追加され,続く第2次補正で本文がR¹=フッ素,R²=塩素に限定された経緯があった。原告らは,拒絶査定の過程で審査官がR¹=F,R²=Hの化合物10の優れた抗腫瘍活性を認めていたことや,代理人弁理士と審査官との電話合意の内容を踏まえれば,本文の記載がただし書と矛盾し不明瞭であり,実質的にはR²に水素が含まれていたとみるべきであると主張した。 特許庁は,訂正事項2は明瞭でない記載の釈明・特許請求の範囲の減縮・誤記誤訳の訂正のいずれにも当たらず,かつ実質上特許請求の範囲を変更するものであるとして,訂正を認めない審決をした。 【争点】 主要な争点は,請求項1に係る訂正事項2(R²を「塩素」から「水素」に改める訂正)が,特許法126条1項ただし書各号所定の訂正目的要件(減縮,誤記・誤訳の訂正,明瞭でない記載の釈明等)に適合するか,及び同条6項にいう「実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するもの」に当たるかである。具体的には,訂正前請求項1本文の「R¹はフッ素であり,R²は塩素であり」との記載と,ただし書の「R¹及びR²が同時に水素原子であることはない」との記載との関係が不明瞭か,明細書の記載や出願経過を参酌して本文のR²の範囲に「水素」が含まれると解すべきか否かが問われた。 【判旨】 知財高裁は,原告らの請求を棄却した。 特許法126条6項の該当性判断は,訂正前後の特許請求の範囲の記載を基準とし,訂正によって第三者に不測の不利益を与えるか否かという観点から決すべきであるとした上で,同法36条5項前段の趣旨から,一つの請求項に内容的に重複する記載があっても相互に矛盾しない限り,出願人が発明特定事項として記載したものと解するのが相当であると述べた。 これを前提に,ただし書の文言はR¹及びR²の両方が水素原子でないことを特定するにとどまり,いずれか一方が必ず水素原子であることまで意味するものではないとした。本文の「R¹はフッ素であり,R²は塩素であり」との記載は,R¹をフッ素に,R²を塩素に特定するものであることが明らかで,ただし書と重複はするが相互に矛盾せず,本件明細書もR¹及びR²の例としてフッ素と塩素を開示しているから整合的である。したがって訂正前請求項1のR¹及びR²の定義は不明瞭とはいえず,原告ら主張のような「R²に水素を含む」との実質的解釈は採用できない。 以上より,訂正事項2は化合物群を塩素基の群から水素基の群へ変更するものであり,減縮的変更ではなく,訂正前請求項1の記載を信頼した第三者に不測の不利益を及ぼすから,実質上特許請求の範囲を変更する訂正に当たる。また出願経過上,第2次補正では原告ら自身が審判請求書でR²を塩素に限定する旨明言しており,代理人と審査官間の電話合意は第三者対抗関係では参酌できないとした。よって訂正事項2は126条6項の要件を欠き,これを前提に他の訂正事項も一群として認められないとした審決の判断に誤りはない。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。