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行政

不当利得返還請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30行コ309
事件名
不当利得返還請求控訴事件
裁判所
東京高等裁判所
裁判年月日
2019年7月18日
裁判官
阿部潤阿部潤

AI概要

【事案の概要】 東日本大震災の被災者生活再建支援金をめぐる不当利得返還請求控訴事件である。被災者生活再建支援法は、自然災害により生活基盤に著しい被害を受けた者に対し、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金を支給する制度であり、全壊世帯・大規模半壊世帯などの「被災世帯」の世帯主が支給対象となる。被害の程度は市町村長が発行する「り災証明書」によって証明される。 本件では、仙台市α区内のマンション(本件マンション)の住人である被控訴人ら4名が、α区長から本件マンションの被害を「大規模半壊」とするり災証明書の発行を受け、これを添付して支援金(各50万円または112万5000円)の支給を申請し、いったん支給決定を受けた。ところが後日、本件マンションが属するマンション群のうち本件マンションのみが大規模半壊と判定されたことから改めて建築士による調査が行われ、被害は「一部損壊」にとどまることが判明した。そこでα区長はり災証明書の被害程度を訂正し、支援金の支給事務を行う控訴人は被控訴人らに対する支給決定を取り消した(本件取消決定)。控訴人は、支給決定が取り消された以上、被控訴人らは法律上の原因なく支援金相当額の利益を受けていると主張して、不当利得返還請求権に基づき既払金の返還を求めた。原審は、本件取消決定は違法かつ無効であり支給決定は依然有効だとして請求を棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 第一に、行政庁が自ら行った授益的処分(本件支給決定)を事後に取り消すことが許されるか、すなわち本件取消決定の適法性である。第二に、仮に取消決定が違法だとしても、それが「重大かつ明白な瑕疵」に当たり無効といえるか、それとも出訴期間の徒過により争えなくなるかである。 【判旨】 本判決は原判決を取り消し、控訴人の請求をいずれも認容した。まず授益的処分の職権取消しは、処分を取り消すことで生じる不利益と取り消さない不利益を比較考量し、放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当と認められる場合に限り許されるとの最高裁判例(最判昭和43年11月7日等)に依拠した。 本件では、東日本大震災という未曾有の災害下で、内閣府の事務連絡に基づき目視による簡易迅速な被害認定が採用され、建築の専門知識を有しない職員による判定が許容されていた。本件マンションの大規模半壊判定は、階段が梁に直接接合するという類例の少ない構造に起因する誤認で、簡易迅速な方法ではその発見が極めて困難であった。事後に専門家の調査で判定を覆すことは、被害認定のより慎重・詳細な実施を許容し、支援金の使用をちゅうちょさせる結果となり、被災者の生活再建と被災地の速やかな復興に資するという支援法の趣旨に反する。また申請者には落ち度がなく、すでに支援金を費消しており返還の不利益も無視できない。これらを比較考量すると、支給決定を放置することが著しく不当とまではいえず、本件取消決定は違法である。 しかし、違法だからといって当然に無効となるわけではない。行政処分が無効となるのは瑕疵が重大かつ明白な場合に限られる。本件支給決定は支給要件そのものを満たしていなかった(被災世帯に該当しなかった)のであり、取消原因は存在した。取消しにより生じる不利益が維持の不利益を明らかに上回るとまではいえない。被控訴人らは行政不服審査請求も取消訴訟も提起しないまま行政事件訴訟法14条の出訴期間を徒過しており、本件取消決定の瑕疵が重大かつ明白とは認められない。したがって被控訴人らは取消決定の効力を争うことができず、支援金の支給は法律上の原因を欠くから、控訴人の不当利得返還請求は理由があるとした。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。