住居侵入,強盗殺人,強盗殺人未遂被告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成28あ1889
- 事件名
- 住居侵入,強盗殺人,強盗殺人未遂被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2019年7月19日
- 裁判種別・結果
- 判決・棄却
- 裁判官
- 山本庸幸、菅野博之、三浦守
- 原審裁判所
- 名古屋高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人が共犯者らと共謀の上、強盗目的で民家に侵入し、住人を殺害ないし殺害しようとしたという住居侵入・強盗殺人・強盗殺人未遂の事案である。犯行は2件あり、いずれも約8年の間隔を置いて敢行された。 第1の犯行は、平成10年6月、被告人(当時23歳)が共犯者2名と共謀の上で行ったものである。被告人は、パチンコ店に勤務するA(当時45歳)から同店の鍵を奪って店内の現金を盗むことなどを計画し、共犯者らを誘い入れた上、事前にAの家族構成まで調べて準備を整えた。そして、妻B(当時36歳)と幼い息子2人が在宅していたA方に侵入し、ひも様のもので妻Bの頸部を強く絞め付けて窒息死させた。その後、室内を物色して金品を強取し、帰宅してきた夫Aをも背後から襲い、同じくひも様のもので頸部を絞め付けて殺害した。 第2の犯行は、平成18年7月、第1の犯行の共犯者のうち1名と共謀の上で行ったものである。被告人は、以前新築工事に携わった関係でC方が高齢女性の一人暮らしであることを知っていたことから、C方への強盗を共犯者に提案した。そして建設会社の定期点検を装ってC方に侵入し、室内を物色した上、C(当時69歳)の頸部をひも様のもので絞め付けて殺害しようとしたが、死亡させるには至らず傷害を負わせるにとどまった。 第1審は被告人に死刑を言い渡し、控訴審もこれを維持した。これに対して被告人側が上告した。弁護人は憲法違反・判例違反を主張したが、最高裁は、その実質は単なる法令違反・事実誤認・量刑不当の主張にすぎず、刑訴法405条の上告理由に当たらないと判断した。もっとも、死刑事件であることに鑑み、刑訴法411条の職権破棄事由の有無についても検討を加えた。 【判旨(量刑)】 最高裁第二小法廷は、本件上告を棄却した。 量刑理由について職権で付言する形で、次のように説示した。いずれの犯行も強盗の計画性は高く、殺害を事前に計画していたとまでは認められないものの、家人が在宅するのを知りながら民家に侵入し、強盗を遂行するために殺害行為に及んでおり、その態様は強固な殺意に基づく冷酷なものである。金銭目的でこのような重大犯罪を繰り返した被告人の人命軽視の態度は顕著というほかない。何ら落ち度のない2名の命が奪われ、1名の命が危険にさらされた結果は誠に重大であり、幼少期に両親を殺害されたAとBの息子らが峻烈な処罰感情を示しているのも当然である。被告人は、第1の強盗を計画して主導し、第2の強盗についても共犯者と共に計画して主体的・積極的に関与しており、少なくともAの殺害の実行行為の一部を担ったと認められる。 以上の事情に照らせば、被告人の刑事責任は極めて重大であり、被告人が被害者や遺族に対する謝罪の意を表していること、第1の犯行時は23歳と若年であったこと、各犯行時には前科がなかったことなど被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、死刑の科刑はやむを得ず、これを是認すると判断した。裁判官全員一致の意見による判決である。