都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3148 件の口コミ
知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10131
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年7月22日
裁判官
鶴岡稔彦山門優高橋彩

AI概要

【事案の概要】 本件は、「医薬品相互作用チェック装置」に関する特許第4537527号(請求項1〜9)をめぐる特許無効審判の審決取消訴訟である。同特許は、病院や調剤薬局において、処方された医薬品同士の相互作用(併用注意・併用禁忌)をチェックし、その結果をマトリックス形式(自己医薬品を行、相手医薬品を列に配置)で一覧表示する装置に関する発明であり、平成22年に特許権として設定登録されていた。 原告(株式会社アイシーエム)は、複数の先行技術文献(医療用添付文書情報サービス「EDIS」や特開平11-195078号公報の発明など)に基づき、本件特許には新規性・進歩性・サポート要件違反の無効理由があるとして無効審判を請求した。特許庁は平成30年7月30日、請求項1〜4、6、8の発明については特開平11-195078号公報記載の発明(引用発明3)に基づく進歩性欠如により無効とする一方、請求項5、7、9に係る発明については無効理由なしとする審決をした。これに対し、特許権者である被告ら(株式会社湯山製作所・株式会社システムヨシイ)は無効部分の取消しを求めて第2事件を、原告は無効不成立部分の取消しを求めて第1事件をそれぞれ提起した。 【争点】 中心的な争点は、本件発明1の「相互作用マスタ」の構成、特に「一の医薬品から見た他の一の医薬品の場合と、前記他の一の医薬品から見た前記一の医薬品の場合の2通りの主従関係で、相互作用が発生する組み合わせを個別に格納する」との記載の意義と、各引用発明との相違点の認定および容易想到性であった。 被告らは、「個別に格納」とは、相互作用が発生する医薬品を「1対1」の組み合わせで、同一の基準・粒度により、他の組み合わせと分離して格納することを意味すると主張した。これに対し原告は、この文言はデータ格納方式を特定するものではなく、リレーショナルデータベース形式やツリー構造による格納も含まれると反論した。 【判旨】 知的財産高等裁判所第3部(鶴岡稔彦裁判長)は、まず本件発明1の「相互作用マスタ」の「個別に格納」の意義について、相互作用が発生する医薬品の「1対1」の組み合わせを、同一粒度で、かつ他の組み合わせと分離して格納することを意味し、「1対多」の格納は含まないと解釈した。 その上で、引用発明3(特開平11-195078号公報)の「医薬品相互作用チェックテーブル105」は、相手テーブル部の一般名コード・薬効分類コード・BOXコードの各欄に必ずしも全てコードが格納されているとは限らず、添付文書の記載態様に応じて「1対多」の関係で相手医薬品が包括的に記録される構造であるから、本件発明1の「相互作用マスタ」の構成を備えるとはいえない。よって審決が本件発明1と引用発明3の間に相違点の存在を認定しなかった点に誤りがあり、この誤りは本件発明1〜4、6、8を無効とした審決の結論に影響を及ぼすと判断し、被告取消事由1〜6をいずれも認容した。 他方、原告主張の引用発明1(EDIS)は添付文書情報の全文検索を可能にしたテキストデータベースにすぎず、引用発明2(甲7文献)も同様であり、いずれも「1対1」の組み合わせを個別に格納する構成を備えない。また、甲13〜15文献等の周知技術にも「個別に格納」の構成は開示されておらず、添付文書データベースを他のデータ構造に変更する動機付けもないとして、本件発明5、7、9について進歩性を肯定した審決に誤りはないとし、原告取消事由1〜3はいずれも棄却した。 結論として、原告の請求は棄却、被告らの請求は認容され、審決のうち請求項1〜4、6、8に係る発明の特許を無効とした部分が取り消された。本件は、特許発明におけるデータ構造の発明特定事項をどの程度厳格に解釈すべきかを示した裁判例として、情報処理分野の特許実務において参考となる判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。