盗品等有償譲受け,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
判決データ
- 事件番号
- 平成31わ572
- 事件名
- 盗品等有償譲受け,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反
- 裁判所
- 名古屋地方裁判所
- 裁判年月日
- 2019年7月23日
- 裁判官
- 西澤恵理
AI概要
【事案の概要】 本件は、名古屋市内の古物店「C」において、買取業務に従事していた店長(被告人A)と従業員(被告人B)が、共謀の上、盗品であると知りながら、窃盗犯人(D)から盗品の腕時計1個(時価約10万円相当)を他の商品2点と合わせて代金合計4万円で買い受けた事案である。犯行は平成30年11月5日午後、約27分間のうちに行われた。起訴罪名は盗品等有償譲受け罪(刑法256条2項)及び組織的犯罪処罰法上の犯罪収益等収受罪である。 古物商は、盗品の流通を防ぐために古物営業法によって厳格な規制に服しており、買取時には売却者の本人確認や帳簿への記載が義務付けられている。それにもかかわらず、古物店の幹部従業員が盗品と知って買い取る行為は、古物商制度の趣旨を根底から揺るがすものである。被告人両名は公訴事実を認め、本件は争いのない認め事件として審理された。 【判旨(量刑)】 名古屋地方裁判所は、被告人Aを懲役2年及び罰金30万円(懲役刑につき4年間執行猶予)、被告人Bを懲役1年6月及び罰金20万円(懲役刑につき3年間執行猶予)に処した。罰金を完納できないときは金5000円を1日に換算した期間、労役場に留置する。訴訟費用は被告人Bの負担とされた。 量刑理由において裁判所は、犯行の悪質性を重くみた。すなわち、動機は店の利益を上げようとする利欲的かつ身勝手なものであり、犯行は窃盗被害者による被害品の追求を困難にし、換金目的による窃盗等の犯罪を助長するおそれのあるものである点で強い非難に値するとした。また、窃盗犯人である売却者とは異なる名義で買取を行うなど手口が巧妙で、常習性・職業性がうかがわれる点を指摘し、本件を主導した店長たる被告人Aの責任は重く、その指示に漫然と従った被告人Bの責任も軽視できないと評価した。 他方、酌むべき事情として、被告人両名が犯行を認めて反省していること、古物店経営者が出廷し今後は両名を古物業には関わらせず雇用を継続して監督することを誓約したこと、被告人Aについては妻が、被告人Bについては両親が監督を期待できること、両名とも前科がないことを認定した。これらを総合考慮し、今回に限り執行猶予を付し、社会内での更生の機会を与えることが相当であると判断した。求刑どおりの量刑である。