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知財

特許権侵害行為差止請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成31ネ10005
事件名
特許権侵害行為差止請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年7月24日
裁判官
鶴岡稔彦高橋彩菅洋輝
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、「骨切術用開大器」と称する医療機器に関する特許権(特許第4736091号)の侵害差止等請求控訴事件である。変形性膝関節症の患者に対しては、大腿骨や脛骨を切り開いて移植物(骨片等)を挿入し、関節の歪みを矯正する高位脛骨骨切除術(HTO)が広く行われているが、切込みを拡大した状態で移植物を挿入する場面では、拡大器自体が挿入の妨げになったり、拡大器を外すと切込みが閉じてしまったりするという課題が従来から指摘されていた。被控訴人(一審原告)は、この課題を解決するため、開閉可能な2対の揺動部材を着脱可能に組み合わせ、一方の揺動部材に他方と係合する「係合部」を設けることで、2対の揺動部材を同時に開大できるようにし、切込みを拡大した状態を維持しつつ片方の揺動部材だけを取り外して移植物を挿入できるようにした発明(本件発明)について特許権を有していた。 被控訴人は、控訴人(一審被告)が製造・貸渡しを行う骨切術用開大器(被告製品)が本件発明の技術的範囲に属すると主張し、特許法100条1項・2項に基づき製造・貸渡し等の差止めと廃棄を求めた。被告製品は、揺動部材とは別部材である「角度調整器のピン」と「留め金の突起部」を用いて2対の揺動部材を係合させる構造を採用している点で、本件明細書の実施例とは係合部の構造が異なっていた。 原審東京地裁は被控訴人の請求を全部認容したため、控訴人が控訴した。 【争点】 主要な争点は、(1)被告製品が構成要件E(揺動部材の一方に他方と係合する係合部が設けられていること)を充足するか、具体的には「係合部」が揺動部材と一体に構成されなければならないか、(2)仮に文言侵害が成立しない場合、均等侵害が成立するか、(3)本件特許がサポート要件違反により無効とされるべきかの3点である。 【判旨】 知財高裁第3部は控訴を棄却した。 まず構成要件Eの「係合部」について、その機能は外力を伝達して2対の揺動部材を同時に開くことを可能にする点にあるとし、特許請求の範囲の文言や明細書の記載からは、係合部が揺動部材と一体でなければ機能を果たせないとはいえず、別部品として係合部を設けることが排除されているとも解されないと判示した。「設けられている」との文言は一般に「設置する」という意味にとどまり、一体か別部品かを読み取ることはできないとし、「部」と「部材」の使い分けや出願経過における意見書の記載も、控訴人の限定解釈を裏付けるものではないとした。 そのうえで、被告製品の角度調整器のピンと留め金の突起部は、外力の伝達により一方の揺動部材の開操作をもって2対の揺動部材を同時に開くことを可能にするものであり、使用時には揺動部材に固定されて揺動部材の一方に設けられていると評価できるから、構成要件Eを文言上充足すると認定した。文言侵害が認められたため、均等侵害の成否については判断を要しなかった。 サポート要件違反の主張に対しては、本件発明の課題は「移植物の挿入を容易にする」点にあり、特許請求の範囲の記載は発明の詳細な説明に照らして当業者が当該課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、サポート要件に適合すると判断した。控訴人が示した本件樹脂モデル1・2は、2対の揺動部材を同時に開くという本件発明の技術思想とかけ離れた構成であり本件発明には含まれないとし、本件樹脂モデル3についても揺動部材の取外し方法は本件発明の解決課題ではないとして、いずれも前提を欠くと退けた。 本判決は、機械構造に関する特許において「部」という文言が用いられていても、それが当該機器の一部品と一体である必要はなく、別部材として構成することも排除されないとの解釈を示した点に実務的意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。