A公契約関係競売入札妨害,贈賄,B入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害(変更後の訴因|入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律違反)
判決データ
- 事件番号
- 平成30う421
- 事件名
- A公契約関係競売入札妨害,贈賄,B入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害(変更後の訴因|入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律違反)
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2019年7月30日
AI概要
本件は、国立循環器病研究センター(国循)の情報システム運用保守業務委託に関する一連の入札において、不正に特定業者を有利に扱ったとして、業者側代表者の被告人Aと国循の部長職にあった被告人Bが、公契約関係競売入札妨害罪、贈賄罪(被告人A)、官製談合防止法違反等に問われた事件の控訴審判決である。 【事案の概要】 国循は独立行政法人化後、情報システム(NCVC)の運用保守業務を年度ごとに一般競争入札で発注していたが、平成23年度までは特定業者Gが一社応札で落札を続けていた。平成23年9月に医療情報部長として国循に赴任した被告人Bは、旧知の被告人Aが代表を務めるソフトウェア開発会社Eを入札に参加させた。検察官が起訴した主要な事実は、①平成24年度入札において、被告人BがGの提出した運用支援業務従事者数等が記載された非公開書面(本件体制表)を被告人Aに送信し、Eが落札金額の算定に利用したこと、②平成25年度入札1において、E以外の業者の参入を困難にし得る仕様書条項(新利用者管理システム・運用履歴管理システムに関する管理システム条項と、病床500床以上での仮想化構築経験を求める仮想化構築実績条項の本件2条項)を盛り込んだこと、③平成25年度入札2の公募型企画競争において、受注意思のないFを参加させてEより高値で応札させるとともに、被告人BがEの企画提案書についてのみ非公表の評価項目を踏まえた助言・指導を行ったこと、である。原判決は被告人Aを懲役2年6月・執行猶予4年、被告人Bを懲役2年・執行猶予4年とした。 【争点】 争点は多岐にわたるが、①本件体制表が非公開情報であるという被告人らの認識の有無および同体制表を入札金額減額に利用したか、②本件2条項を盛り込んだ行為が「偽計を用いた公の入札等の公正を害すべき行為」に当たるか、③平成25年度入札2において競争自体が実質的に存在していたか、④意見招請手続を欠いていた入札について起訴すること自体が違法であるか(被告人Bの公訴棄却申立て)、⑤被告人Bの量刑不当、である。 【判旨】 本判決は、被告人Aの控訴を全て棄却した上、被告人Bについては原判決を破棄して自判し、懲役1年・執行猶予3年に減軽した。 意見招請手続の欠缺は入札制度上の瑕疵ではあるが、そのような前提でも不正行為が入札の公正を害することは明らかであり、公訴提起自体の違法性は否定された。本件体制表はGの人件費見込みを推知させる重要資料で、被告人Bは非公開情報との認識を有していたと認定でき、被告人Aが予定配置人数を12人から10人に変更して入札金額を下げた経過から、同体制表を利用した減額の事実も推認できるとした。本件2条項については、調達目的の達成に不可欠とはいえず、E以外の参入を困難にする目的で作成された以上、偽計による入札公正害行為に該当するとした。平成25年度入札2についても、Fは実質的競争参加者として評価委員に認識されており競争は存在したのであり、非公表の評価項目を踏まえた助言・指導は正当な営業活動ではないとして、被告人両名の犯意・共謀を認めた。 もっとも、被告人Bの量刑については、本件は典型的な予定価格内報型の官製談合とは性格が異なり、むしろ長年の一社応札を打破しGの独占を崩す側面を含み、Eによる納入システムの評価も高く発注者利益に適う結果となった面もあることから、公契約関係競売入札妨害の事案中でも違法性は弱い部類に属すると評価した。原判決は同種事案における本件の位置づけの考慮を欠いており、刑期・執行猶予期間ともに重きに失するとして破棄した。