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知財

特許権に基づく損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ41474
事件名
特許権に基づく損害賠償請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年7月30日
裁判官
田中孝一横山真通奥俊彦

AI概要

【事案の概要】 本件は、「タンパク質を抽出する混合液」という発明の名称の特許権(特許第5388259号)を有する原告が、被告株式会社ディーエイチシー(DHC)の製造販売するクレンジングオイル「DHCウォーターフレンドリー クレンジング オイル」が本件特許の技術的範囲に属するとして、特許権侵害に基づく損害賠償を求めた事案である。原告は、被告製品が本件特許発明の構成要件を充足する旨主張し、被告製品の売上高を年間約12億円(クレンジングオイル全体の約2割)と見積もり、平成26年2月から平成29年12月までの売上高46億円に実施料率5%を乗じた2億3000万円に弁護士費用を加えた計2億4150万円の損害が生じたとして、その一部請求として1000万円及び遅延損害金の支払を求めた。本件特許は、従来のタンパク質抽出方法が界面活性剤の使用を前提としており、抽出後に界面活性剤を除去する工程が必要で煩雑であった点を課題とし、所定の高級アルコールと脂肪酸を含む混合液により界面活性剤なしでタンパク質を簡便に分離できるようにした発明である。被告製品はクレンジング用化粧品であり、成分としてオクチルドデカノール(高級アルコール)やスクワラン(炭化水素)のほか、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル等の界面活性剤を含んでいた。 【争点】 主要な争点は、被告製品が本件発明の構成要件、特に「タンパク質を抽出する」混合液という構成要件Bを充足するかであり、本件明細書の記載及び出願経過を踏まえ、本件発明における界面活性剤の許容含有量をどう解釈するかが問題となった。原告は、構成要件を限定的に解釈すべきではなく、被告製品には実際にタンパク質抽出機能がある以上構成要件を充足すると主張した。これに対し被告は、本件発明は界面活性剤を除去する工程を不要にする点に技術的意義があり、明細書の「0~4質量%」という記載に照らせば全体に対して4質量%を超える界面活性剤を含む混合液は本件発明の技術的範囲に含まれないと主張した。 【判旨】 東京地裁民事第47部(田中孝一裁判長)は原告の請求を棄却した。裁判所はまず、特許請求の範囲の解釈は明細書の発明の詳細な説明の記載等を考慮して行うべきであるとした上で、本件明細書には、従来の界面活性剤を前提とする方法では抽出後に除去工程が必要で煩雑であったという課題を解決するため、界面活性剤を必要的に用いずタンパク質を簡便に分離できる混合液を提供することが発明の目的とされている旨の記載があることを指摘した。そして、本件発明に係る「タンパク質を抽出する」混合液とは、含有される界面活性剤の程度が従来必要とされていた除去工程を不要にする限度にとどまる混合液を意味するものと解するのが相当であり、分離されたタンパク質から界面活性剤を除去する工程が必要となるものはこれに当たらないと判示した。この解釈は、原告自身が特許出願の経過において、本件原出願は界面活性剤を必要的に用いず、界面活性剤を抽出結果物から除去する工程を不要とする効果を奏する旨主張していたことにも沿うとした。そして、証拠上、従来タンパク質分離のために使用されてきた界面活性剤の含有量は0~2質量%程度であったところ、被告製品に含まれる界面活性剤の量はこれを大きく上回るものであり、除去工程が不要である程度にとどまるとは認められないとして、被告製品は構成要件Bを充足せず本件発明の技術的範囲に属しないと結論付けた。その余の争点については判断するまでもなく原告の請求は理由がないとして、本件請求を全部棄却した。本判決は、特許請求の範囲の解釈に当たり明細書の記載と出願経過を重視し、発明の技術的意義に照らして構成要件を実質的に画定した事例として、特許権侵害訴訟の実務上参考になる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。