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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ3483
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
名古屋地方裁判所
裁判年月日
2019年7月30日
裁判官
前田郁勝寺田幸平餅田庄平

AI概要

【事案の概要】 スリランカ国籍の原告が、他人名義の偽造旅券を用いて日本に入国した後、不法残留を理由として退去強制令書(本件退令)の発付を受けた。原告はその後、難民認定申請を行ったが、法務大臣は平成23年6月3日に不認定処分(本件不認定処分)を行い、同年7月5日にその旨を原告に通知した。原告は同日、本件不認定処分を不服として法務大臣に対して異議を申し立て、弁護士を代理人として口頭意見陳述や審尋を経て手続を進めていた。 法務大臣は平成26年11月7日に異議申立てを棄却する決定(本件異議棄却決定)を行ったが、この告知は約1か月後の同年12月17日に行われた。名古屋入国管理局は、その直前の同月15日に原告の仮放免延長を不許可として原告を収容し、入管当局がチャーター機で多数の送還忌避者を一度にスリランカへ送還する集団送還の対象者に原告を選定していた。 告知の場面で原告は教示書を手にしながら「6か月の間これ裁判できる」「おれ裁判やるの」などと述べ、取消訴訟提起の意思を示した。しかし入国警備官は「国に帰っても裁判できる」「帰ってからやりなさい」「弁護士頼めば、それ弁護士でできる」などと説明した。原告は翌12月18日、チャーター機でスリランカに強制送還され、これにより本件不認定処分の取消訴訟の訴えの利益を喪失した。 原告は、一連の公権力行使が難民不認定処分に対する取消訴訟の機会を奪い、裁判を受ける権利を違法に侵害したと主張し、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料300万円および弁護士費用30万円の合計330万円の支払を求めた。 【争点】 主たる争点は、本件送還およびこれに至る一連の手続(集団送還対象者への選定、異議棄却決定の告知時期、告知の際の説明内容)が国賠法上違法といえるかである。具体的には、自由権規約14条1項、難民条約のノン・ルフールマン原則、憲法32条・13条・31条違反の有無が問題となった。 【判旨】 裁判所は、国際慣習法上、国家には外国人を受け入れる義務はなく、自由権規約14条1項や自由権規約委員会の一般的意見は、退去強制を受ける立場にある原告について取消訴訟提起までの合理的期間、強制送還されない具体的権利を保障するものではないとした。ノン・ルフールマン原則も裁判所による審査までを要求するものではなく、原告の生命・自由が脅威にさらされた事情もないから同原則違反はないと判断した。 集団送還の対象者選定については、入管法61条の2の6第3項が定める場合や退令発付処分の取消訴訟・執行停止決定がある場合を除き、入国警備官は速やかに送還先へ送還すべき義務を負うのであり、訴訟提起の意思表明のみで送還を差し控える職務上の法的義務はないとして違法を否定した。異議棄却決定の告知時期についても、通知時期を定める入管法上の規定はなく、1か月程度要することは一般的であるとして違法性を認めなかった。 一方、告知の方法については、原告の発言内容および教示書2の内容に照らせば、原告が本件不認定処分または本件異議棄却決定の取消訴訟を提起する意図を示していたことは入国警備官において十分認識可能であったにもかかわらず、送還されれば訴えの利益が失われるにもかかわらず、スリランカに送還されても弁護士を通じて訴訟ができるかのような誤った教示を行ったと認定した。行政事件訴訟法46条が教示を定めた趣旨は権利救済の機会を正しく伝えることにあり、正確な内容の教示を受けることは国民の権利であるところ、誤った教示は公務員が職務上通常尽くすべき義務に違反するもので国賠法上違法となると判断した。 もっとも、裁判所は、本件送還自体が違法とはいえない以上、誤った教示がなくとも原告はスリランカに送還されており、裁判を受ける権利そのものが侵害されたとはいえないとし、損害は適切な教示を受ける権利の侵害にとどまるとして、慰謝料8万円、弁護士費用8000円の合計8万8000円およびこれに対する平成26年12月18日から年5分の遅延損害金の支払を命じ、その余の請求は棄却した。なお、教示書の記載が国外退去後は取消訴訟を提起できなくなる旨を明らかにしていない点について、相当な記載といえるか疑問を呈した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。