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行政

相続税更正処分等取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ウ539
事件名
相続税更正処分等取消請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年8月27日

AI概要

【事案の概要】 本件は、被相続人(本件相続開始時94歳、平成24年に死亡)の相続人である原告らが、相続により取得した東京都杉並区の共同住宅(本件甲不動産)及び神奈川県川崎市の共同住宅(本件乙不動産)の価額を、財産評価基本通達の定める評価方法(路線価方式等)によって評価し相続税を申告したところ、税務署長から、これらの不動産については評価通達の定めにより評価することが著しく不適当であるとして、不動産鑑定士の鑑定評価額によった更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたため、これらの取消しを求めた事案である。 被相続人は、平成21年1月、当時90歳で本件甲不動産を総額8億3700万円で購入し、同年12月には本件乙不動産を総額5億5000万円で購入した。購入資金は大半がM銀行からの借入れ(合計10億0800万円)で賄われ、銀行の貸出稟議書には「相続対策のため」と明記されていた。また、相続人の1人(原告E)は、相続開始前に養子縁組された者であった。 評価通達に基づく評価額は、本件甲不動産が約2億円、本件乙不動産が約1億3000万円にとどまり、鑑定評価額(本件甲約7億5400万円、本件乙約5億1900万円)と比較して約4分の1にすぎなかった。原告らは、本件各借入れによる債務控除と評価通達による評価額の低さを組み合わせることで、課税価格を約2826万円に圧縮し、基礎控除内に収めて相続税ゼロで申告していた。 【争点】 主な争点は、(1)評価通達の定める評価方法によらない評価が許される「特別の事情」の有無、(2)評価通達6が定める国税庁長官の指示に関する手続上の違法の有無、(3)更正処分の理由提示に関する行政手続法14条1項違反の有無である。原告らは、特別の事情は災害や地盤沈下等の客観的事情に限られるべきであり、節税目的や相続開始前後の一連の行為はこれに含まれないと主張した。 【判旨】 東京地裁は、原告らの請求をいずれも棄却した。 裁判所は、評価通達の定める評価方法が一般的な合理性を有する場合でも、これを形式的に全納税者に適用すると、かえって租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかな特別の事情がある場合には、他の合理的方法により評価できると判示した。その上で、本件では、通達評価額が鑑定評価額の約4分の1にとどまり、実際の取引価額ともほぼ一致する鑑定評価額との間に著しいかい離があること、被相続人が90歳という高齢で多額の借入れを行い本件各不動産を購入した経緯、銀行稟議書に「相続対策」と明記されていたこと、これらの行為により本来6億円超であった課税価格が2826万円に圧縮され相続税ゼロになったことなどから、本件各不動産の購入及び借入れを行わなかった他の納税者との公平を著しく害することが明らかであるとして、特別の事情を認めた。 評価通達6の国税庁長官の指示に関する手続的瑕疵の主張については、評価通達は税務官庁内部の通達にすぎず、その違反が対外的効力を有し更正処分を違法にするものではないとして退けた。理由提示についても、通達評価額と取引価額・鑑定評価額との著しいかい離を具体的に示しており、行政手続法14条1項の要求を満たすと判断した。 本判決は、評価通達6の適用要件としての「特別の事情」の判断において、通達評価額と時価との著しいかい離という客観的事情に加え、相続税の負担軽減を意図した一連の行為という主観的要素をも考慮して、租税負担の実質的公平という観点から判断した点に実務的意義がある事案である(なお、本件はその後控訴審・最高裁に進んだ)。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。