入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反,公契約関係競売入札妨害,贈賄
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、電気工事の施工・請負を業とする会社の経営に実質的に関与していた被告人が、大阪市建設局の職員2名と共謀し、同市が発注する電気工事の制限付一般競争入札に関する秘密情報を不正に入手するとともに、職員に対し賄賂を供与したとして、官製談合防止法違反、公契約関係競売入札妨害、贈賄の各罪に問われた事案である。 被告人は、飲食接待を重ねて市職員B及びCと関係を築いた上、平成26年12月から平成30年9月までの間、合計32件の電気工事入札に先立ち、入札の最低制限価格帯算出の根拠となる直接工事費等の秘密情報を教示するよう依頼した。これに応じた両職員は、本来、適正に職務を行う義務があるにもかかわらず、飲食店などで被告人に当該秘密情報を教示し、入札の公正を害する行為をした。被告人が経営に関与する会社又はその協力業者は、これら情報を基に19件の工事を落札した。 また、被告人は、職員Bに対し、秘密情報の教示に対する謝礼や今後の便宜を受ける趣旨で、現金合計370万円、販売価格410万円の普通乗用自動車1台、旅行代金約62万円相当の財産上の利益を供与した。賄賂の総額は金品等合計で842万円余に上った。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役2年、4年間執行猶予の判決を言い渡した。 量刑理由として、まず不利な事情を挙げ、入札の公正を大いに害したこと、賄賂の総額が800万円を超える多額に上り職務の公正やこれに対する社会の信頼を損なった程度も大きいこと、継続的な不正行為の発端は被告人からの働き掛けにあり、本件会社が多額の利益を上げたことに照らせば、自社の利潤を追求して積極的に一連の犯行に及んだといわざるを得ないと評価した。 弁護人は、従前から大阪市発注工事では一定業者への受注集中など公平な競争が確保されていない状況があったと指摘したが、裁判所は、そうであるとしても入札の公正等をないがしろにしてよい理由にはならないと退けた。 他方、有利な事情として、被告人が捜査当初から罪を認めて深く反省し、その供述が事案解明に相当程度寄与したとうかがわれること、前科がないこと、本件会社が公共工事の指名停止処分を受けるなど一定の社会的制裁を被ったこと、顧問税理士による監督が期待できることなどを認定した。裁判所は、常習的で悪質な犯行ではあるが、被告人の社会内における更生を期待して、刑の全部の執行を猶予するのが相当と判断した。なお、論告求刑は懲役2年であり、実刑求刑ではなかった点も結論に沿うものであった。