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知財

特許権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ12296
事件名
特許権侵害差止等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年9月10日
裁判官
谷有恒野上誠一島村陽子

AI概要

【事案の概要】 本件は、「棒状フック用のカードケース」に関する特許権(特許第4012616号)を共有していた扶桑産業株式会社および株式会社ソーグが、アイリスオーヤマ株式会社に対し、同社が製造委託して販売したカードケース(商品陳列フック用プライスカードホルダー)が原告らの特許権を侵害したと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。本件特許は、陳列棚等で使用される「十手フック」と呼ばれる吊り下げ式陳列具に取り付けるカードケースに関するもので、偶力を利用して水平回転させることでカードケースの向きを簡単に変更でき、かつ抜け落ちにくい構造を特徴とし、上保持部と下保持部を備え、下保持部が平面視で上保持部を囲う形状をしていることで一対の金型の抜き違いにより簡単に射出成形できる点に技術的意義があった。原告扶桑産業は従前より被告に原告製品を販売していたが、被告は平成25年2月から平成27年2月までの間、自ら製造委託した被告製品を量販店等のエンドユーザーに販売したため、本件訴訟に至った。被告製品が本件発明の構成要件AないしGおよびIないしKを充足することは当事者間に争いがなく、構成要件Hの後半部分の充足性のみが争点となった。 【争点】 主たる争点は、(1)被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか、特に構成要件Hの後半部分(「平面視で上保持部が嵌まる状態の抜き穴が空いており」)の充足性、すなわち「嵌まる」という文言の意義、および(2)特許権侵害による原告らの損害額(特に原告ソーグに特許法102条1項・2項が適用されるか、推定覆滅事由の有無、共有者間の損害額配分)である。被告は「嵌まる」とは「ぴったり」「ちょうどよく」合うことを意味し、被告製品の抜き穴と上保持部には大きな隙間があるから充足しないと主張した。 【判旨】 大阪地裁は、原告らの請求を一部認容した。まず構成要件Hの「嵌まる」の意義について、辞書的意義や他の公報の使用例に照らせば「嵌まる」は必ずしもぴったり合う場合に限られず幅のある概念であり、本件明細書の図3および図9には抜き穴と上保持部の間に隙間が描かれていること、構成要件Hの技術的意義が一対の金型の抜き違いによる製造容易化にあることからすれば、抜き穴の大きさが上保持部より若干大きく形状もある程度類似していれば足り、隙間や遊びがあってもよいと解釈した。被告製品は下穴部が上保持部より若干大きい程度で形状もある程度類似するから構成要件Hを充足し、本件発明の技術的範囲に属すると判示した。損害論では、原告ソーグは自ら原告製品を被告に譲渡したとは認められず特許法102条1項・2項は適用されず同条3項のみ適用されるとし、原告扶桑産業については同条2項に基づき被告の限界利益を損害と推定した上で、被告製品の大半がバンドル取引により販売されていたことや被告の販売力・ブランドイメージを考慮して推定を6割覆滅した。さらに、共有者である原告ソーグの実施料相当損害金(実施料率5%、共有持分2分の1)分を原告扶桑産業の損害から控除し、弁護士費用を加算して、原告扶桑産業に1155万3472円、原告ソーグに163万2389円の支払を命じた。本判決は、特許法102条2項の推定覆滅事由として共有者が不実施の場合における同条3項の実施料相当額控除を認めた点、「嵌まる」という特許請求の範囲の用語の解釈に明細書・図面・技術的意義を踏まえた柔軟な判断を示した点で実務上意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。