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行政

生活保護廃止決定処分取消請求事件,費用徴収決定処分取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ウ541
事件名
生活保護廃止決定処分取消請求事件,費用徴収決定処分取消請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年9月12日
裁判官
森英明小川弘持三貫納有子

AI概要

【事案の概要】 生活保護を受給していた原告が、処分行政庁(港区長から権限委任を受けた福祉事務所)から、預金口座に多額の入金がありながら申告をせず不正に保護を受けていたとして、生活保護法78条1項に基づく316万1825円の費用徴収決定と、同徴収決定後の繰越金と就労収入を考慮すれば保護を要しなくなったとする生活保護廃止決定を受けたため、これらの取消しを求めた事案である。 原告の父であるIは、平成26年6月に死亡した。原告は生前のIから、死亡すれば口座が凍結されると言われ、ゆうちょ銀行のI名義口座から合計355万8000円を引き出し、その大部分を原告名義の三菱東京UFJ銀行の普通預金口座(本件口座)に預け入れて管理していた。また姉から預かったみずほ銀行のI名義口座の解約金34万7518円、Iに対する各種還付金等も本件口座に入金されていた。これら合計411万8139円が「本件金員」として徴収決定の対象となった。 原告は本件金員の一部を、自らの借金返済、生活費、長女の専門学校入学金等に流用したが、その都度流用額に相当する金員を本件口座に戻していた。遺産分割協議については、原告と姉にそれぞれ2分の1を相続させる旨の遺言があるものの、Iの妻の成年後見人(弁護士)と長男が遺言の効力を争っており、調停申立ても処分行政庁の認定が障害となって取下げを余儀なくされ、分割は進まない状態にあった。 【争点】 第一に、本件徴収決定が生活保護法78条1項の要件を満たすか、すなわち本件金員が法4条1項の「利用し得る資産」に当たり、原告が「不実の申請その他不正な手段」により保護を受けたといえるかが争われた。被告は、本件口座の名義人が原告である以上、金融機関との関係で処分権限があり、現に流用もしているから全体が「利用し得る資産」に当たり、申告しなかったのは不実の申請に該当すると主張した。原告は、本件金員は未分割の相続財産であり、遺産分割が成立するまでは処分できず「利用し得る資産」に当たらない、申告義務もないと反論した。 第二に、徴収決定後の繰越金を前提に保護を廃止した本件保護廃止決定が適法かが争われた。 【判旨】 東京地裁(森英明裁判長)は、本件金員の性質について、原告はIの遺産として本件口座で管理すべきものと認識し、一時的に流用することはあったものの最終的には流用額に相当する金員を本件口座に戻していたと認定した上で、Iの相続人全員の同意のもとで利用する権限を得ていたとはいえない以上、Iの相続人との関係では遺産としての性質を有し、原告において活用することのできないものであったと判断した。 もっとも、法4条1項の「利用し得る資産」には、性質上直ちに処分することが困難であったり、その存否・範囲が争われるなどの理由により直ちに現実に活用することが困難な資産も含まれると解し、未分割遺産の預貯金についても、生活保護を受けている相続人は計算上の具体的相続分の限度で「利用し得る資産」を有するとした。したがって本件金員のうち原告の具体的相続分に相当する部分は「利用し得る資産」に当たり、法61条の届出義務の対象になるから、届出をしなかった点で原告は同条に違反するとした。 しかし、現実に活用することが困難な未分割遺産については、急迫した事由がある場合に保護を行う法4条3項が適用される場面であり、遺産分割協議等により現実に活用できる状態となった段階で法63条の費用返還義務が課されるにとどまる。そうすると、原告が本件金員の届出をしなかったとしても、保護の受給の可否に影響は生じず、法78条1項の「不実の申請その他不正な手段」により保護を受けたとはいえないと判断し、本件徴収決定は違法とした。 本件保護廃止決定についても、徴収決定が違法である以上、被告が前提とした繰越額95万6314円は存在せず、原告の収入充当額は最低生活費を下回るから、保護を要しなくなったとはいえないとして違法と判断した。 以上より、原告の請求をいずれも認容し、両処分を取り消した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。