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下級裁

(事件名なし)

判決データ

事件番号
平成30ワ774
事件名
(事件名なし)
裁判所
広島地方裁判所
裁判年月日
2019年9月17日

AI概要

【事案の概要】 原告(昭和10年生まれの男性)は、昭和35年4月から同36年3月までの約1年間、合資会社大阪パッキング製造所(現・日本インシュレーション株式会社)に勤務し、石綿を含有する保温材の製造・取付作業に従事して石綿粉じんにばく露した。約50年後の平成26年2月4日、胸部CT検査で胸膜プラーク所見と左肺がんの疑いが認められ、平成27年2月に左肺下葉切除手術を受け、原発性肺がん(本件肺がん)との病理学的診断を受けた。平成27年9月30日、大阪南労働基準監督署長は、本件肺がんを「石綿にさらされる業務による肺がん」として業務上疾病と認定し、療養補償給付の支給決定をした(本件支給決定)。 原告は、泉南アスベスト国家賠償請求第2陣訴訟の最高裁平成26年10月9日判決を踏まえ、被告(国)が旧労基法に基づく省令制定権限を行使して石綿取扱工場に局所排気装置の設置を義務付けなかったことが違法であると主張し、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料・弁護士費用合計1265万円及び遅延損害金の支払を求めた。被告は元金の支払義務については争わなかったが、遅延損害金の起算日についてのみ争った。 【争点】 本件の唯一の争点は、損害賠償債務に係る遅延損害金の起算日、すなわち石綿関連疾患としての肺がんにおける損害の発生日をいつと解すべきかである。原告は肺がんの診断確定日(平成26年2月4日)を主張したのに対し、被告は、じん肺に関する平成6年最高裁判決・平成16年最高裁判決の枠組みを石綿肺以外の石綿関連疾患にも及ぼし、最も重い行政上の決定を受けた日(本件では本件支給決定日である平成27年9月30日)を損害発生日とすべきと主張した。被告は、肺がんも長期潜伏期間を経て発症する点でじん肺と同様であること、業務上疾病認定には石綿ばく露量等の行政判断が不可欠であること、全国での和解実務との公平性等を論拠とした。 【判旨】 広島地裁は、原告の請求を全部認容し、遅延損害金の起算日を本件肺がんの診断確定日である平成26年2月4日と認めた。 裁判所は、不法行為による損害賠償債務は損害発生と同時に催告を要することなく遅滞に陥る(最判昭和37年9月4日)という一般原則を確認した上で、本件で原告が主張する損害は本件肺がんの発症そのものであり、他に証拠がない以上、その発生日は診断確定日と解するのが相当であるとした。 被告の依拠する平成25年大阪高裁判決(泉南2陣訴訟原判決)についても、同判決は結論として肺がんに罹患した原告について診断確定日を遅延損害金の起算日としており、被告主張の根拠とはならないと判示した。また、平成6年最高裁判決は管理2〜4という複数段階の行政上決定が存在するじん肺の特質を前提とした判断であって、管理区分制度の存在しない肺がんに直ちに及ぼすことはできず、長期潜伏期を経て発症するという性格のみから行政上の決定を損害発生の基準とする理由は乏しいとした。さらに、管理区分認定は症状の程度を行政が認定するものであるのに対し、業務上疾病認定は性格が異なるから、石綿肺と肺がんを同一に扱う根拠にならないと退けた。 和解実務との公平性を欠くとの主張についても、被告の和解方針によって原告の権利が制限される理由はないとして斥けた。 本判決は、じん肺型の損害発生論(最も重い行政上決定時説)は、管理区分制度に裏打ちされた石綿肺に固有の例外的枠組みであり、肺がんのように一回的な疾患発症をもって損害が現出する石綿関連疾患には妥当しないことを正面から示したものである。石綿健康被害訴訟における遅延損害金の起算日を肺がんについて診断確定日と判断した点に実務的意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。