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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10012
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年9月18日
裁判官
鶴岡稔彦上田卓哉山門優

AI概要

【事案の概要】 本件は、建設機械メーカーである原告・住友建機株式会社が、発明の名称を「ショベル、及びショベル用管理装置」とする特許出願をしたところ、特許庁から拒絶査定を受け、さらに拒絶査定不服審判でも請求が不成立とされたため、特許庁長官を被告として、審決の取消しを求めた事件である。 原告の発明は、ショベル(油圧ショベル、いわゆるパワーショベル)の故障や不調を遠隔地の管理装置で診断するための技術に関するものである。具体的には、運転者(オペレータ)がキャビン内の表示部に表示された「規定動作の指示」に従ってレバー操作を行い、その際に各種センサが検出した値を規定動作と対応付けて記憶し、管理装置へ送信するというものである。これにより、管理装置側の専門スタッフは、どのような動作条件下で取得されたデータかを容易に把握でき、故障や不調の部位・原因を効率的に分析できるとされる。 特許庁は、本願発明は、先行公開特許公報(引用例)に記載された油圧ショベルの保守システムの発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法29条2項(進歩性)の規定により特許を受けることができないと判断して拒絶審決をした。引用発明は、管理部の保守員が作業機械側に操作内容を指示し、その指示を見たオペレータが当該操作を行い、得られたセンサデータを管理部へ送信するという保守システムであった。 【争点】 本件の争点は、本願発明の進歩性判断の当否であり、具体的には、①引用発明の認定の誤り(引用発明がオペレータのレバー操作に応じて駆動する油圧アクチュエータを備えると認定した点の当否)、②相違点の看過の有無(本願発明の「規定動作の指示」と引用発明の「操作指示」とが一致すると認定した点の当否)、③認定された相違点(本願発明が「運転者のレバー操作に応じた」規定動作の実行と特定されている点)の容易想到性の判断の当否、である。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。 まず引用発明の認定について、引用例には、従来技術としてオペレータが操作レバーを操作することで油圧シリンダを作動させる構成が記載されており、油圧ショベルにおいてオペレータのレバー操作で油圧アクチュエータを駆動することは本件出願当時の技術常識であったと認定した。そのうえで、引用例の記載は自動運転を前提とするものではなく、オペレータが作業機械を操作する構成を採用したうえで、その操作が保守員の指示に従って正確に行われるようにするものであるとして、審決の認定に誤りはないとした。 次に相違点の看過について、本願発明の特許請求の範囲には「規定動作」の内容や「指示」の表示方法について特段の定義がないこと、本願明細書にも特定の内容・方法に限定する記載はないことから、「規定動作の指示」は運転者に対し油圧アクチュエータによる規定の動作の実行を指示するものであれば足り、原告が主張するような「個人のスキル等によるバラツキが抑制されるよう配慮した具体的かつ一義的な操作指示」に限定されるものではないと判断した。引用発明の操作指示もこれに相当するため、相違点の看過はないとした。 最後に相違点の容易想到性について、引用発明がオペレータのレバー操作に応じて駆動する油圧アクチュエータを備えていること、引用例にレバー操作以外の態様で操作を行う旨の記載がないことから、当業者は、オペレータが操作指示を見て行う操作手段として、通常時に用いる操作レバーを用いることを容易に想到できたと判示した。本件は、特許の進歩性判断における引用発明の認定と、明細書の記載による発明特定事項の解釈の在り方が問題となった知財事件である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。