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下級裁

談合被告事件

判決データ

事件番号
平成30わ855
事件名
談合被告事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年9月20日
裁判官
野口佳子鎌田咲子荻原惇

AI概要

【事案の概要】 本件は、東京都青梅市が平成29年4月に施行した「幹32号線改修工事(擁壁設置その2工事)」の指名競争入札に関し、土木工事業を営む株式会社Aの代表取締役である被告人が、他の指名業者5社の担当者らと共謀して談合を行ったとして、刑法96条の6第2項の談合罪で起訴された刑事事件である。 本件工事は青梅市内の南北道路整備計画の一環で、先行する「その1工事」に続く擁壁設置工事である。予定価格は税込み約1億0518万円、工期は平成29年4月21日から平成30年3月29日までであった。青梅市は当初、その1工事を受注していたC社との随意契約を検討していたが、市の審査委員会で認められなかったため、A社を含む10社による指名競争入札に切り替えた。 被告人は青梅市建設業者で構成されるG協会の会長を務めていた。被告人は指名通知日前後から入札日までの間、B、C、D、E、F各社の担当者に対し、直接又は電話で本件工事について話をした。入札の結果、A社が9700万円で落札し、他社は予定価格満額での入札又は辞退・不参加であった。落札率は99.6%と極めて高かった。検察官は被告人に「公正な価格を害する目的」があり、共犯者らとの間で談合の合意が成立したとして起訴した。 【争点】 最大の争点は、被告人に談合罪の主観的要件である「公正な価格を害する目的」があったか否かであり、その判断の中心は、被告人が本件工事をA社で積極的に受注しようとする意思を有していたかにある。検察官は、①A社の財務状況の悪化、②本件工事の採算性、③東京都・青梅市の格付等級維持や融資への利益、④被告人の受注意欲を示す言動、の4点から積極的受注意思を立証しようとした。弁護人は、本件工事は採算性が低くA社にとって受注したい工事ではなく、被告人はG協会会長として入札不調により青梅市に迷惑をかけることを避けるため、他社の意向を確認したにすぎないと反論した。 【判旨(量刑)】 東京地裁立川支部は被告人を無罪とした。 裁判所は、検察官主張の4点を個別に検討し、いずれも被告人の積極的受注意思を推認させるに足りないと判断した。すなわち、①A社の経営状況は悪化していたが、本件工事は被告人が採算性が良いと認識していたとは認められず、資金繰りにも困難はなかった、②積算価格が予定価格を上回っており、採算性の良い工事との認識はなかった、③格付等級の維持に本件工事が不可欠とはいえず、金融機関からの融資にも特段の影響はなかった、④被告人が本件工事に関心を示す発言をしていたことは認められるものの、それは入札不調を避けたいとの会長としての立場からも説明可能であり、積極的受注意思を示すものとは評価できない、とした。 また、本件の落札率99.6%が同種工事の平均落札率94.9%より高いことについても、統計の母数が少なく工事ごとに条件が異なることから、落札率の高さのみで公正価格を害する目的を推認することはできないとした。 被告人の「入札不調により青梅市に迷惑をかけたくなかった」「協会会長として地元業者が落札しないことを避けたかった」との弁解についても、本件工事の採算性の低さ、青梅市とG協会の協力関係、被告人が連絡したのが工事現場に近い東部地区の業者に限られていたことなどと整合的であるとして、排斥できないと判断した。 結論として、被告人には自由競争により形成される落札価格を引き上げる認識はなく、「公正な価格を害する目的」を認定するに足りる証拠はないとして、刑事訴訟法336条により無罪を言い渡した。なお裁判所は付言として、被告人とB・D・E3社との間にはA社を落札者とする黙示的合意があり談合行為自体は認められると述べつつ、主観的要件を欠くため犯罪は成立しないとした(求刑・罰金100万円)。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。