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下級裁

(事件名なし)

判決データ

事件番号
平成31ネ255
事件名
(事件名なし)
裁判所
福岡高等裁判所
裁判年月日
2019年9月27日
裁判官
西井和徒上村考由佐伯良子
原審裁判所
福岡地方裁判所_小倉支部

AI概要

【事案の概要】 本件は、石綿工場で石綿製品の製造に従事していた労働者(被控訴人)が、石綿粉じんのばく露により肺がんを発症したとして、国(控訴人)に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。被控訴人は、昭和35年3月頃から平成8年12月頃まで、北九州市内の浅野スレート株式会社(現エーアンドエーマテリアル)の工場内で石綿スレート製品の製造作業に従事し、原料石綿の袋を破ってビーターに投入する作業や成型後の切断作業を行う中で石綿粉じんにばく露した。被控訴人は平成20年9月26日に肺がんの疑いと診断され、同年11月7日の右肺下葉部切除手術時の生検により腺がんと確定診断を受け、平成22年2月12日に労災認定を受けた。 国は、最高裁平成26年10月9日判決(泉南アスベスト第2陣訴訟)により、労働大臣が旧労基法に基づく省令制定権限を行使して局所排気装置の設置を義務付けなかったことが国家賠償法上違法であると判断されたことを受け、一定の条件を満たす被災者に対し責任限度額2分の1の範囲で和解により賠償を行う方針を表明していた。被控訴人の請求もこの和解方針に則ったものであり、原審は請求を認容したため国が控訴した。 【争点】 国の責任や損害賠償金元金の支払義務自体は争われておらず、本件の唯一の争点は、損害賠償債務の遅延損害金の起算日を、肺がんの確定診断日とすべきか、労災認定日(行政上の決定日)とすべきかである。国側は、大阪高裁平成25年判決(最高裁平成26年判決の原審)が石綿肺を念頭に判示した平成6年最判の判断枠組みに基づき、石綿関連疾患については病名を問わず最も重い行政上の決定日又は死亡日を起算日とすべきと主張した。これに対し被控訴人は、肺がんは病理組織検査により確定診断が可能であり、石綿肺のような特異な進行性疾患とは性質が異なるから、確定診断日を起算日とすべきと主張した。 【判旨】 福岡高裁は、原判決を変更した上で、遅延損害金の起算日を肺がんの確定診断日である平成20年11月7日と認めた。不法行為に基づく損害賠償債務は損害の発生と同時に遅滞に陥るところ、被控訴人が主張する損害は「石綿に起因する肺がん」であるが、その損害は肺がんという健康被害それ自体とみるのが自然かつ合理的であり、肺がんの発症は通常、病理組織検査等の医学的診断により判断されるから、確定診断日に損害が発生したとみるのが相当であるとした。 国が援用する平成6年最判は、肺内に粉じんが存在する限り進行するという特異な進行性疾患であるじん肺(石綿肺)を対象としたものであり、じん肺管理区分決定という専門的な行政上の決定が重大な法的効果を生じさせる特殊性を前提とする判例であって、その射程は石綿に起因する肺がんには及ばないと判断した。肺がんにはじん肺管理区分決定に相当する手続も、地方じん肺診査医のような専門医による診査もないためである。また、大阪高裁平成25年判決も、肺がんに罹患した原告については確定診断日を起算日としており、国の主張する解釈は採用できないとした。 結論として、慰謝料1150万円については企業和解金による充当処理後の残額に対する平成23年12月29日以降の遅延損害金、弁護士費用相当額115万円については確定診断日である平成20年11月7日以降の遅延損害金の支払を命じた。本判決は、石綿関連疾患であっても肺がんについては石綿肺とは異なり医学的診断で損害発生を認定できるとの判断枠組みを示した点で、実務上重要な意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。