麻薬及び向精神薬取締法違反,大麻取締法違反
判決データ
- 事件番号
- 令和1わ290
- 事件名
- 麻薬及び向精神薬取締法違反,大麻取締法違反
- 裁判所
- 名古屋地方裁判所
- 裁判年月日
- 2019年9月30日
- 裁判官
- 鵜飼祐充
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人が自宅において麻薬であるコカイン(粉末合計約5.058グラム)及びコカイン塩酸塩を含有する粉末(合計約0.649グラム)、並びに大麻を含有する植物片(約0.701グラム)を所持していたとして、麻薬及び向精神薬取締法違反並びに大麻取締法違反に問われた事案である。被告人は外国人で、来日前から大麻を吸引していた経験を有し、平成28年10月頃からは密売人から入手したコカインを、自らが所属する社会人ラグビーチームの公式試合のない時期に吸引してきたことを自認していた。本件犯行が発覚したことで被告人は所属ラグビーチームを解雇され、事件はマスコミ等を通じて広く報道された。検察官は懲役2年6月及び押収物件の没収を求刑した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役2年に処し、3年間その刑の執行を猶予するとともに、押収されたコカイン7袋及び大麻草1袋を没収する旨を言い渡した。量刑理由として、裁判所はまず本件で所持されていた麻薬の量が比較的多いこと、被告人が来日前から大麻の吸引経験を有し、平成28年10月頃から継続的にコカインを吸引してきたことを自認していることに照らすと、被告人と違法薬物との関係は深いといえ、被告人の刑事責任は相応に重いと指摘した。もっとも、他方で、被告人が自己の犯行を素直に認めて反省の態度を示し、今後は出身国に戻って専門家の治療を受けるなどして違法薬物との関係を絶ち更生することを誓っていること、被告人の妻による監督が期待できること、本邦における前科前歴がないこと、本件犯行の発覚により所属ラグビーチームを解雇されたほか、本件がマスコミ等を通じて広く報道されたことで一定の社会的制裁を既に受けていることなど、被告人のために酌むべき事情を考慮した。これらを総合勘案した上で、裁判所は主文のとおりの刑を量定し、今回はその刑の執行を猶予して社会内更生の機会を与えることが相当であると判断した。薬物事犯においては、再犯防止と社会復帰の観点から、本人の更生意欲、家族による監督、社会的制裁の有無などが執行猶予の可否を判断する上で重要な要素となるところ、本判決は外国人被告人につき出身国での治療継続を見据えた社会内更生の機会付与を認めた事例として実務的意義を有する。