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知財

特許権侵害差止等請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ10043
事件名
特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年10月3日
裁判官
森義之眞鍋美穂子佐野信
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

本件は、血友病Aの治療薬である「ヘムライブラ(一般名エミシズマブ)」が、バクスアルタ社らが保有する特許権(特許第4313531号、発明の名称「第IX因子/第IXa因子の抗体および抗体誘導体」)の技術的範囲に属するか否かが争われた特許権侵害差止等請求控訴事件である。 【事案の概要】 本件特許は、血友病Aの患者のうち、従来の第VIII因子(FVIII)補充療法で抗体(インヒビター)が生じてしまう患者向けに、第IX因子(FIX)又は活性型第IXa因子(FIXa)に結合してFIXaの凝血促進活性を増大させる抗体又は抗体誘導体に関するものである。控訴人らは、被控訴人である中外製薬が製造販売する「ヘムライブラ」(FIXaとFXの双方に結合する非対称型バイスペシフィック抗体)が本件特許発明の技術的範囲に属すると主張し、製品の製造・使用・譲渡・輸出等の差止め及び廃棄を求めた。原審(東京地裁)は請求を棄却し、控訴人らは控訴するとともに、当審で原薬の輸出差止請求を追加した。 【争点】 本件の中心的争点は、特許請求の範囲にいう「凝血促進活性を増大させる」抗体の意義と、非対称型バイスペシフィック抗体である被控訴人製品がその範囲に含まれるかである。具体的には、(1)バイスペシフィック抗体が本件発明の「抗体誘導体」に含まれるか、(2)「凝血促進活性を増大させる」とは色素形成アッセイにおいてどの程度の値を示すものをいうか、(3)その測定条件(インキュベーション時間を2時間とするか、キット仕様書どおり5分とするか)、(4)被控訴人製品の改変元モノスペシフィック抗体が実際に凝血促進活性を増大させるかが争われた。 【判旨】 知財高裁第2部は控訴を棄却した。まず、バイスペシフィック抗体は本件発明の「抗体誘導体」の一態様として技術的範囲に含まれ得るとしつつ、明細書に具体的定義がない「凝血促進活性を増大させる」の意義は、明細書段落【0013】【0014】の記載を参酌し、色素形成アッセイにおけるネガティブコントロールとの比が3を超えることを意味すると解するのが相当とした。また、明細書がインキュベーション時間を2時間と記載している以上、当業者は評価に当たり2時間を想定すると判断し、控訴人らが主張する仕様書記載の5分という条件は採用しなかった。そのうえで、被控訴人が行った乙38実験(インキュベーション時間2時間)では、被控訴人製品の改変元モノスペシフィック抗体Qhomoのネガティブコントロールとの比が1.36〜1.48にとどまり、控訴人らの甲224実験等でも大部分が3以下であったことから、被控訴人製品は「FIXaの凝血促進活性を実質的に増大させる」モノスペシフィック抗体又はその誘導体に該当せず、本件発明の技術的範囲に属しないと結論付けた。本判決は、機能的・抽象的表現で記載された特許請求の範囲の解釈において、明細書に開示された具体的構成に基づく技術思想から技術的範囲を確定すべきとした点で、バイオ医薬品分野の特許権行使の限界を示す事案である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。