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下級裁

殺人被告事件

判決データ

事件番号
平成30わ830
事件名
殺人被告事件
裁判所
札幌地方裁判所
裁判年月日
2019年10月3日
裁判官
島戸純大木峻

AI概要

【事案の概要】 本件は、被告人が居住する共同住宅の隣室に住む被害者(当時53歳)の行動等に憤懣を抱き続けていたところ、強迫性障害による「悪や邪は打ち砕かなければならない」という強迫観念と相まって、被害者は周囲に害悪を及ぼす存在であり殺害するしかないと思い込むに至り、被害者を殺害したという殺人事件である。 被告人は、犯行に先立ち、被害者の居室の鍵穴に接着剤を入れて被害者が自室に逃げ込めないようにした上、帰宅する被害者を待ち伏せ、平成30年7月20日午後9時20分頃、共同住宅南側市道上において、殺意をもって被害者の頭部及び顔面をハンマーで100回以上にわたり殴打し続け、頭部・顔面挫滅による頭蓋内損傷により死亡させた。 被告人は犯行当時、強迫性障害に罹患しており、その強迫観念が犯行の動機形成や態様に影響を与えたか否か、また影響があるとしてどの程度責任非難を減じるべきかが量刑上の主要な問題となった。検察官は懲役18年を求刑した。 【争点】 被告人の強迫性障害が本件犯行に及ぼした影響の有無・程度、及びこれを踏まえた責任非難の程度が争点となった。公判では、被告人が強迫性障害に罹患しており犯行態様等にこれが影響しているとする乙医師の所見と、被告人に精神障害の罹患はないとする丙医師の所見が対立した。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人を懲役17年に処し、未決勾留日数中240日を本刑に算入するとともに、犯行に用いられたハンマー1本を没収した。 犯行態様について、被害者の頭部及び顔面をハンマーで百回以上殴打し続けて挫滅させるものであって極めて執拗かつ残忍であり、事前に被害者の居室の鍵穴に接着剤を入れて逃げ場を奪った上で待ち伏せるなど計画性が認められ、殺意も強固であったと評価した。被害者の苦痛・無念及び遺族の処罰感情も重視した。 一方、被告人の精神状態については、乙医師の所見を支持し、被告人は強迫性障害に罹患していたため、強迫観念が繰り返し出現し、被害者を排除するしかないと思い込んで本件犯行に至ったものであり、犯行態様や経緯にこれが影響しているとの医学的所見を認定した。丙医師の所見は、被告人の心理経過の検討が不十分であり、乙医師の所見を否定するには足りないとした。 もっとも、責任非難の評価としては、被告人は強迫性障害を有していたとはいえ、ハンマーで頭部を殴打することの危険性を十分認識し、社会一般から許されないことを理解した上で犯行の準備を整え、被害者の状況を認識しながら殴打を継続しているのであるから、このような意思決定はやはり強く非難されるべきであり、強迫性障害の存在を考慮しても非難を弱めることには限度があると判示した。 以上を踏まえ、本件は前科のない者が単独で凶器(鈍器)を用いて行った殺人事案の中では重い類型に位置付けられるとして、求刑よりやや下回る懲役17年が相当と結論付けた。刑事責任能力を全面的に減じるまでには至らないが、精神障害の影響を一定程度量刑上考慮した事例として実務的意義を有する判決である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。