AI概要
【事案の概要】 本件は、ラジオコントロール模型用サーボモータ等の電子部品の輸入販売を業とする原告が、インターネット上のオークションサイトでサーボモータを出品販売していた被告に対し、被告商品の標章及び形態は原告商品の標章及び形態と類似し混同を生じさせるとして、不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に当たる旨主張し、同法3条に基づく譲渡等の差止め及び商品表示の抹消、並びに同法4条に基づく損害賠償金12万2629円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。 原告商品は「Towerpro」または「TowerPro」のブランド名の下、「MG996R」「MG995」の型番が付されたサーボモータであり、筐体上部に紫色や金色を基調とした特徴的なラベルが貼付されていた。これに対し被告商品は、1行目の表示が「TZT」となっている以外は、型番「MG996R」「MG995」や「DIGI HI TORQUE」「DIGI HI-SPEED」の文字列など、2行目・3行目の表示が原告商品とほぼ同一のラベルを有するものであった。被告は平成30年11月から12月にかけてオークションサイトで被告商品を出品販売していた。 【争点】 主たる争点は、不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為の成否であり、具体的には、(1)原告商品の標章又は形態が周知な商品等表示といえるか、(2)原告表示と被告表示との類似性及び混同のおそれの有無である。 【判旨】 東京地方裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 まず商品形態(原告表示1-2、2-2)について、商品の形態自体が不競法2条1項1号の「商品等表示」に該当するためには、(1)商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有していること(特別顕著性)、かつ(2)その形態が特定の事業者により長期間独占的に使用され、又は強力な広告宣伝や販売実績により需要者において特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)を要すると述べた上で、原告商品の形態について他のサーボモータと客観的に異なる顕著な特徴を具体的に含むことを認めるに足る証拠はなく、特別顕著性を欠くと判断した。 型番やラベル等その他の表示についても、各種媒体への掲載状況や小売店での販売実績に関する客観的証拠がなく、オンライン通販の売上ランキングも期間限定の断片的資料にすぎないとして、原告表示が需要者の間に広く認識されているとは認められないとした。 さらに念のため類似性についても検討し、原告表示と被告表示のラベルは1行目が「Towerpro/TowerPro」と「TZT」で全く異なる文字列で構成され、外観・観念・称呼がいずれも異なること、2行目・3行目で一致する「MG996R」「MG995」「DIGI HI TORQUE」「DIGI HI-SPEED」はサーボモータの型番や性状を示す部分にすぎないことから、全体として類似せず、混同のおそれも認められないと判示した。