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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ2058
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年10月4日
裁判官
酒井良介林由希子佐藤壮一郎

AI概要

【事案の概要】 本件は、過去に石綿(アスベスト)製品の製造・加工を行う工場で就労し、石綿粉じんにばく露したことによって肺がんを発症した原告2名が、国の規制権限不行使の違法を理由に、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。原告Aは昭和34年4月から昭和35年8月まで石綿含有保温材等を製造するC社の石綿工場で作業に従事し、平成20年11月26日に徳島大学病院で肺がんの確定診断を受け、平成21年7月に労災認定を受けた。原告Bは昭和33年3月から昭和41年2月まで石綿含有製品を製造するD社の石綿工場でパッキン製造作業に従事し、平成27年2月17日に近畿中央胸部疾患センターで石綿による肺がんと診断され、同年6月に労災認定を受けた。 本件の前提として、最高裁平成26年10月9日判決(平成26年最判)は、労働大臣が昭和33年5月26日以降、旧労働基準法に基づく省令制定権限を行使して石綿工場に局所排気装置の設置を義務付けなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとの判断を示している。被告(国)は同最判を踏まえ、原告それぞれにつき慰謝料1150万円と弁護士費用115万円の合計1265万円の責任自体は争わず、遅延損害金の起算点のみが争点として残された。 【争点】 肺がんによる損害賠償請求権の遅延損害金の起算点をいつに求めるかが争点である。原告らは、不法行為債務は損害発生と同時に何らの催告を要せず遅滞に陥ることを前提に、肺がんは医療機関の病理検査によって確定診断できる疾患であるから、確定診断日を起算点とすべきと主張した。これに対し被告は、石綿肺に係る平成6年最判や大阪高裁平成25年12月25日判決を援用し、石綿関連疾患については最も重い行政上の決定日(労災認定日)または死亡日を統一的に起算点とすべきであり、医師の診断だけでは石綿由来の肺がんであるか医学的に明らかにならないと反論した。 【判旨】 請求認容。裁判所は、不法行為に基づく損害賠償請求権は損害発生と同時に遅滞に陥ることを前提に、石綿による肺がんは胸膜プラークや線維化など画像上の特徴を有し、X線・CT検査を経た医療機関の確定診断によって石綿由来の肺がんと認定しうるから、確定診断時点に将来生ずべき全損害が発生していると判示した。そして、原告両名の診断書はいずれもX線・CT検査を経て胸膜プラーク等に着目しており、労災認定基準の充足性の検討を実質的に包含しているとして、原告Bの診断も確定診断と同視できると認定した。石綿肺に関する従来の判例が管理区分ごとに質的に異なる損害の発生を認めたのは、石綿肺の特異な進行性に基づくものであり、肺がんが同様に進行段階ごとに質的に異なる損害を生じさせると認めるに足る証拠はないとして、被告の主張を退けた。以上より、原告Aについては平成20年11月26日、原告Bについては平成27年2月17日を起算日とする年5分の遅延損害金の支払を認めた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。