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知財

特許権侵害差止請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ10085
事件名
特許権侵害差止請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年10月8日
裁判官
大鷹一郎國分隆文筈井卓矢
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、「金融商品取引管理装置、金融商品取引管理システム、金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法」を発明の名称とする特許(特許第6154978号)の特許権者である被控訴人(株式会社マネースクエアHD)が、控訴人(株式会社外為オンライン)に対し、控訴人の提供する外国為替取引管理サービス(被告サービス)に使用されているサーバ(被告サーバ)が本件特許の請求項1に係る発明(本件発明)の技術的範囲に属し、控訴人による被告サーバの使用が本件特許権を侵害する旨主張して、特許法100条1項に基づきその使用の差止めを求めた事案の控訴審である。 本件発明は、相場価格の変動に応じて継続的に金融商品の取引を行う装置に関するもので、複数の買い注文情報及び売り注文情報を一の注文手続で生成し、相場価格が上昇して複数の売り注文のうち最も高い価格の売り注文が約定されたことを検知すると、それよりさらに所定価格だけ高い売り注文情報を生成するという、いわゆる「シフト機能」を備える点に特徴がある。被告サービスは「iサイクル注文」と称するもので、買いの成行注文(クイックトレード)と、決済のための指値・逆指値の売り注文(OCO注文)を組み合わせた「クイック+OCO注文」を複数組一括発注する仕組みを採用していた。 原審(東京地裁)は被控訴人の請求を認容したため、控訴人が原判決を不服として控訴を提起した。 【争点】 主たる争点は、(1) 被告サーバが本件発明の技術的範囲に属するか、とりわけ構成要件Hの「前記検知の情報を受けて」新たな売り注文情報を生成する点を充足するか、(2) 本件特許がサポート要件違反・進歩性欠如等により無効とされるべきか、(3) 控訴人に先使用権が認められるか、である。控訴人は、最も高い売り注文の約定検知と新たな売り注文情報の生成との間に他の処理(成行買い注文の発注・約定)を介在させる構成は文言上含まれず、出願経過において意識的に除外されたと主張した。均等論による充足も争われた。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。構成要件Hの「前記検知の情報を受けて」との文言は、「他の処理を何も介在せずに直ちに」という限定を含むものではなく、最も高い売り注文の約定検知を契機として新たな売り注文情報が生成されれば足りると解し、被告サーバにおいて最も高い指値売り注文の約定検知から成行買い注文の発注・約定を経て新たな売り注文情報が生成される一連の処理も構成要件Hを充足すると判断した。出願経過における被控訴人の意見書記載も、複数の売り注文のうち最も高い価格のもののみを監視すれば足りる旨を述べたに過ぎず、他の処理が介在する構成を意識的に除外したものとは認められないとした。 サポート要件については、本件明細書の「シフト機能」に関する記載(段落【0078】【0151】【0164】等)から、複数の注文の「価格帯」をシフトさせる構成のみならず、特定の一の売り注文の「価格」をシフトさせる構成も開示されていると認められ、構成要件Hは発明の詳細な説明に記載されたものであるとした。進歩性欠如・分割要件違反・先使用権の各主張もいずれも排斥され、被告サーバの使用差止めを認めた原判決が維持された。 本判決は、コンピュータを用いた金融取引システムの特許について、クレーム文言の解釈において出願経過の意見書記載をどう評価するか、実施例以外の構成を明細書の記載から認識しうるかといった、ソフトウェア関連発明におけるクレーム解釈・サポート要件判断の実例として実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。