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知財

商標権侵害行為差止等請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ10064
事件名
商標権侵害行為差止等請求控訴事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年10月10日
裁判官
森義之眞鍋美穂子熊谷大輔
原審裁判所
東京地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 家庭用浄水器及び交換用カートリッジの製造販売を業とする原告(株式会社タカギ)が、楽天市場内の仮想店舗で本件浄水器に適合する交換用ろ過カートリッジ(被告商品)を販売する被告合同会社グレイスランド、そのウェブサイト制作を担当した被告好友印刷、両社の代表者である被告Yに対し、商標権侵害及び不正競争行為(不競法2条1項1号の商品等表示混同惹起行為)を理由に、標章使用の差止め及び損害賠償を求めた事案の控訴審である。 被告グレイスランドは、被告ウェブページのタイトルタグ・メタタグに「タカギ 取付互換性のある交換用カートリッジ」等と記載し(被告標章1・2)、またウェブサイト冒頭に「タカギ社製 浄水蛇口の交換用カートリッジを お探しの皆様へ」との3段書き表示(被告標章3)を掲載していた。原告は、自社の著名・周知表示である「タカギ」と被告標章が類似し、需要者に出所の混同を生じさせると主張した。原判決は平成28年11月15日から平成29年3月22日までの被告標章1・2の使用につき不正競争行為の成立を認め28万余円の限度で認容、その余を棄却したため、双方が控訴・附帯控訴した。 【争点】 争点は多岐にわたるが、中心となるのは、(1)「タカギ」表示が周知性を有するか、(2)被告標章1~3が商品等表示として使用されているといえるか(特に平成29年3月23日以降「タカギに使用出来る」「タカギの浄水器に使用できる」等助詞を付した表記への変更後も商品等表示に当たるか)、(3)混同のおそれの有無、特にウェブページに複数箇所配された「当社製品はタカギ社純正品ではございません」等の打ち消し表示で混同のおそれが解消されるか、(4)スマートフォン・タブレット経由アクセス分の利益が不競法5条2項の「侵害行為による利益」に含まれるか、(5)代表者Yの会社法429条・597条に基づく責任の成否である。 【判旨】 知財高裁第2部は原判決を変更し、被告ら連帯で139万1757円及び遅延損害金の支払を命じる限度で原告の請求を認容し、差止請求は全て棄却した。 まず、「タカギ」の片仮名表示は、全国的な著名性までは認められないものの、蛇口一体型浄水器市場での販売シェア首位、福岡・鹿児島エリアでの純粋想起率1位、相当額の広告宣伝費等から、日本国内全域で周知性を有するとした。被告標章との類否については、被告標章1の「【楽天市場】」、被告標章3の「社製」はいずれも識別力に乏しく、要部である「タカギ」文字部分で本件カタカナ表示と同一であるとして類似性を肯定した。 商品等表示としての使用については、時期を分けて判断した。平成28年11月1日から平成29年3月22日までの間、タイトルタグ・メタタグ及びウェブページ下方に「タカギ」の後に空白を挟んで商品説明が続く態様で表示していたことは、被告標章1・2が商品の出所を示すものとして使用されたと認定した。他方、平成29年3月23日以降の「タカギに使用出来る」「タカギの浄水器に使用できる」という表現は、「タカギ」の後に助詞を付してまとまりある文章として被告商品の適合機種を説明する体裁となっており、需要者が「タカギ」を商品自体の出所表示と認識するとは認められず、商品等表示としての使用に当たらないとした。他方、ウェブサイト冒頭の3段書きに掲載された被告標章3(タカギ社製)については、2行目末尾の「交換用カートリッジ」を修飾するものと理解され得ること、周辺に「交換用カートリッジ ついに発売!!」等の大きな表示が配されカートリッジと結びつけて理解されやすいこと等から、商品等表示としての使用に当たると認めた。 混同のおそれについて、被告らが主張する「純正品ではございません」等の打ち消し表示は、パソコンの設定等により被告標章3と同一画面に表示されない場合があること、実際に誤認混同した顧客からのクレームが複数寄せられていたこと、商品価格が高額でなく需要者の注意力がそれほど高くないこと等から、混同のおそれを解消するに足りないとした。 損害額については、不競法5条2項に基づき、被告ウェブサイトを経由したパソコン等経由の販売に係る限界利益228万6033円を「侵害行為による利益」と認定した。一方、スマートフォン・タブレット経由のアクセス分については、被告ウェブサイトへのリンクが目立たず、需要者が敢えて被告ウェブサイトを表示させる積極的要因も認められないとして、スマホ等分利益725万余円は本件不正競争行為によって生じた利益には含まれないとした。推定の覆滅については、被告標章3のみが商品等表示として使用されていた平成29年3月23日以降の期間につき5割の覆滅を認め、最終的に損害額119万1757円及び弁護士費用20万円の合計139万1757円を認容した。 被告Yの責任については、両被告会社がいずれも小規模であり、Yが自ら表記変更を検討・実行していたこと等から、被告標章使用について自ら意思決定をしていたものと推認され、少なくとも過失により本件不正競争行為を行ったとして、民法709条及び719条1項に基づく共同不法行為責任を肯定した。 差止請求については、本件各不正競争行為が既に終了しており、再び同様の行為をするおそれがあると認めるべき事情は存在しないとして棄却した。 本判決は、インターネット上の商品販売において、「○○に使用できる」といった助詞を付した適合機種表示が商品等表示に当たるか否かという、互換品ビジネスで頻出する問題について判断を示した点、ウェブページ上の打ち消し表示の有効性を実質的に検討した点、スマホ・タブレット向けサイトと被告ウェブサイトの関係に照らしてスマホ等分利益を損害から除外した点において、実務上参考となる事例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。