都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3153 件の口コミ
知財

特許料納付書却下処分取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ウ162
事件名
特許料納付書却下処分取消請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年10月23日

AI概要

【事案の概要】 本件は、特許料の追納期間を徒過して消滅したものとみなされた特許権の原特許権者である原告が、特許庁長官による追納手続却下処分の取消しを求めた事案である。原告は、「PI3キナーゼおよびmTOR阻害剤としてのトリアジン化合物」に関する発明について、米国特許商標庁を受理官庁とする国際出願を経て、平成24年3月16日に本件特許権の設定登録を受け、設定時特許証の交付を受けた。その後、原告は明細書及び特許請求の範囲についての訂正審判を請求し、平成25年9月6日付けで訂正を認める審決がされ、同月30日に特許登録原簿に登録された。原告は、この訂正登録に伴い、「登録日」欄に「平成25年9月30日」と記載された訂正時特許証の交付を受けた。 本件特許権は、第4年分の特許料の納付期間である平成27年3月16日までに特許料が納付されず、特許料追納期間の末日である同年9月16日までにも追納がなかったため、特許法112条4項により遡って消滅したものとみなされた。原告は、平成28年9月9日に第4年分から第6年分の特許料納付書及び回復理由書を提出し、期間徒過には特許法112条の2第1項所定の「正当な理由」があると主張したが、特許庁長官は平成29年7月11日付けで本件納付書を却下する処分をした。原告は、特許料の納付期限を管理していた原告の完全親会社ファイザー社の担当者が、訂正時特許証の「登録日」欄の日付を見て、設定登録日そのものが訂正により変更されたと誤解したことが期間徒過の原因であり、我が国の特許証の記載は米国や欧州と比べて紛らわしく、このような不十分な記載に基づく誤解の不利益を特許権者側に負わせるのは不当であると主張した。 【争点】 本件期間徒過について特許法112条の2第1項所定の「正当な理由」が認められるか否かが争点となった。平成23年改正により、特許法条約の「Due Care(相当な注意を払っていたこと)」の概念を採用して従前の「責めに帰することができない理由」要件が改められた経緯を踏まえ、「正当な理由」の解釈及びその当てはめが問題となった。 【判旨】 東京地裁は、原告の請求を棄却した。裁判所はまず、特許法112条の2第1項にいう「正当な理由」があるときとは、原特許権者として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず、客観的にみて追納期間内に特許料等を納付することができなかったときをいうと解するのが相当であるとの解釈を示した。 その上で、日本の特許権を保有する者には、特許料の納付管理に当たり日本の特許法及び関係法令を理解しておくことが相当な注意として一般に求められるところ、特許法107条、108条により特許料の納付期間は設定登録日から起算されることが規定され、訂正をすべき旨の審決確定登録によって設定登録日が変更される旨の規定は存在しないことは条文上明らかであり、特許法28条1項により特許証は設定登録時だけでなく訂正審決確定登録時にも交付されることが規定されているから、担当者がこれらの規定を理解していれば、訂正時特許証の「登録日」が訂正審決確定に係る登録日を記載したものであって設定登録日の変更を意味するものではないと理解することは可能であったと判示した。 さらに裁判所は、両特許証の「登録日」欄の年月日に1年半ものずれがあることは設定登録日が訂正されたと考えることに疑念を生じさせるものであり、特許権の設定登録日はウェブサイトの特許情報や特許登録原簿等でも確認可能であるから、相当な注意を尽くして確認していれば設定登録日が変更されていないことを認識することは容易であったと指摘した。以上より、本件期間徒過について「正当な理由」は認められず、本件却下処分は違法とはいえないとして、原告の請求を棄却した。本判決は、平成23年改正で導入された「Due Care」基準の下でも、特許権者には関係法令を正確に理解し公開情報により確認する義務が課されることを明示した事例として実務上意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。