特許出願公開及び審査請求義務付け等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、原告が発明の名称を「公開報道される世論調査支持率から過去データ嶺谷区間逆転ないなだらかな3次回帰式適用によりバンドワゴン効果アンダードッグ効果を包括したアナウンス効果を反映した選挙得票率予測装置」とする特許出願(本件特許出願)を行ったところ、特許庁長官から却下されたため、その効力を争った事案である。 原告は、平成25年8月5日に選挙予測システムに関する最初の特許出願を行い、これが拒絶査定を受けた後、平成26年8月4日に優先権主張を伴う2度目の特許出願をした。さらに平成27年10月26日、これを基に実用新案登録出願に変更し、平成28年2月に実用新案登録を得た。そして平成30年8月27日、この実用新案登録を基礎として特許法46条の2第1項に基づく特許出願(本件特許出願)を行った。 特許法46条の2第1項1号は、実用新案登録に基づく特許出願は、当該実用新案登録に係る出願日から3年以内にしなければならないと定める。特許庁長官は、本件実用新案登録出願は変更出願であるため実用新案法10条3項により平成26年8月4日に出願されたものとみなされ、本件特許出願は3年の期間を徒過しているとして、2度の却下理由通知を経て平成31年2月5日に出願を却下した。原告は却下処分の無効確認・取消し、出願公開・審査の義務付け等、多岐にわたる請求を提起した。 【争点】 争点は、(1)却下理由通知・出願公開・審査開始行為の処分性の有無、(2)弁明書提出が「法令に基づく申請」に該当するか、(3)本件特許出願が特許法46条の2第1項1号の期間内にされたといえるか(特に同条2項ただし書・実用新案法10条3項ただし書による出願日遡及効否定の主張の当否)である。 【判旨】 東京地裁は、原告の主位的請求に係る各訴え並びに予備的請求の趣旨第1、第3、第4、第5項に係る訴え及び中間確認の訴えをいずれも却下し、却下処分の取消しを求める請求を棄却した。 まず、特許法18条の2第2項に基づく却下理由通知は、却下に先立ち意見陳述の機会を付与するものにすぎず、国民の権利義務に直接影響を及ぼさないから「処分」に該当しない。また、出願公開は、拡大先願・補償金請求権・優先審査等の一般的効果を生じさせるにとどまり、特定人に対する権利義務を形成するものではないから処分性を欠く。審査開始行為も同様である。弁明書提出は処分を求める行為ではなく「法令に基づく申請」に当たらない。本件却下処分の無効確認の訴えは、取消訴訟によって目的を達し得るため訴えの利益を欠く。 本案については、本件実用新案登録出願は特許出願の変更出願であり、実用新案法10条3項により出願日は平成26年8月4日に遡及するから、平成30年8月27日の本件特許出願は3年経過後の不適法なものである。原告が主張する実用新案法10条3項ただし書・特許法46条の2第2項ただし書の適用による遡及効否定は、特許法29条の2等の拡大先願の適用場面における規定であり、本件のような同法46条の2第1項1号の期間要件の判断には及ばないと判示し、却下処分は適法とした。