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知財

特許権侵害差止請求権不存在確認等請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ2067
事件名
特許権侵害差止請求権不存在確認等請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年10月28日

AI概要

【事案の概要】 本件は、回転歯ブラシの製造方法等を事業とする原告(株式会社STBヒグチ)が、回転歯ブラシのブラシ単体の製造方法及び製造装置に関する特許(特許第3981290号)を有する被告P1及び同特許権の専用実施権者である被告会社(株式会社T.W.C)を相手に提起した事件である。 原告と被告P1側との間には前史があり、平成21年に被告P1らが原告の歯ブラシ製造方法・装置は被告特許権を侵害するとして訴訟を提起し、大阪地裁・知財高裁で原告の侵害を認める判決が確定していた(前訴判決)。これを受けて原告は製造方法・装置を設計変更して別の製造方法を採用していたが、被告らは平成27年7月頃、原告の取引先(卸売業者)に対し「原告製品の製造方法は被告特許権を侵害する」旨の書面(本件通知書1)を送付した。さらに被告会社は平成28年3月頃、別の取引先3社に対しても同旨の書面(本件通知書2、「侵害の疑いが極めて濃厚」と記載)を送付した。本件通知書1の送付を受けた取引先は、原告に対し販売見合わせを通知し、原告製品を店頭から撤収した。 そこで原告は、被告らに対し、①被告特許権に基づく差止請求権・損害賠償請求権・不当利得返還請求権の不存在確認、②不正競争防止法2条1項21号(現行の競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽事実の告知・流布)を根拠とする告知・流布行為の差止め、損害賠償(600万余円)、訂正文の送付を求めた。 【争点】 主たる争点は、(1)原告の製造方法・装置が被告特許発明の技術的範囲に属するか(文言侵害及び均等侵害の成否)、(2)本件各告知が不正競争防止法上の虚偽事実告知に該当するか、被告らに故意又は過失があったか、損害の発生及び額である。特に(1)では、本件特許の構成要件である「素線群の突出端の中央にエアを吹き込んで素線群を放射方向に開く」との文言の解釈、すなわちエアが素線群の突出方向と逆方向から吹き込まれるものに限定されるかが中心的論点となった。 【判旨】 大阪地裁は、特許請求の範囲の文言及び本件明細書の記載を精査し、本件特許における「エア」は素線群が突出させられる方向と反対方向から中央に向けて吹き込まれるものを意味すると解釈した。一方、原告の製造方法では空気は糸束と同じ方向(下向き)に流れ、加工台座下で糸束の突出を促進しているにすぎず、反対方向からのエア吹込みの構成を備えていないと認定。文言侵害を否定した。 均等侵害についても、エアの吹込み方向は本件発明の課題解決のための特徴的部分(本質的部分)に該当するとして第1要件を満たさないとし、均等侵害も否定した。 その上で、本件各告知は競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽事実の告知に該当し、前訴判決後に原告の新方式の装置を十分に調査検討しないまま告知に及んだ被告らには少なくとも過失があると認定。不正競争該当性を肯定した。損害については逸失利益350万3032円、弁護士・弁理士費用35万円の合計385万3032円を認容し、無形損害及び訂正文送付請求は退けた。特許権侵害を理由とする告知・流布行為の差止めは認容した。 本判決は、特許権者が取引先に対して侵害警告書を送付する場合に、前訴勝訴判決の存在だけでは免責されず、警告時点の対象製品について具体的な調査・検討を尽くす必要があることを示した点、及び特許請求の範囲の解釈に当たり明細書記載の課題解決機序を踏まえた限定解釈を採用した点で実務的意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。