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【事案の概要】 東京都杉並児童相談所長(処分行政庁)は、平成22年4月7日付けで児童福祉法27条1項3号に基づき本件児童Aを夫婦である原告ら(養育里親)に委託していたが、平成29年2月15日付けで、①本件児童に係る里親委託措置を解除する処分(本件里親委託措置解除処分)をし、②原告らに対する本件児童の委託を解除した(本件委託解除)。その経緯として、平成28年末に妻Dが川に飛び込み入院したことから、処分行政庁は本件児童を一時保護し、里親委託措置を停止した上、主治医から養育可能との説明があったにもかかわらず、原告らに養育里親名簿への登録辞退をさせた上で、上記①②を行った。原告らは、これらはいずれも裁量権の範囲を逸脱・濫用した違法な処分であるとして取消しを求めるとともに、東京都知事(裁決行政庁)が原告らの審査請求を却下した裁決(本件裁決)も違法であるとしてその取消しを求めた。 【争点】 (1)本件里親委託措置解除処分の取消しの訴えについて、原告ら(里親)が原告適格を有するか、(2)本件委託解除が抗告訴訟の対象となる「処分」に当たるか(処分性の有無)、(3)本件裁決の取消しの訴えについて訴えの利益があるかなどが主な争点となった。 【判旨】 東京地裁は、本件各訴えをいずれも却下した。 まず争点(1)について、児童福祉法27条1項3号に基づく里親委託措置は、児童を家庭から引き離し、親権者又は未成年後見人の権利を制限する法的効果を有するものにすぎず、その解除処分も当該制限を解除するにとどまり、同法は特定の里親を選定した上で一方的に里親委託措置をすることを想定していないと判断。児童を受託した里親と知事等との関係は、委託の申込みと里親による承諾という契約締結行為によって成立する民法上の準委任に準じた公法上の契約関係であるとし、里親委託措置解除処分自体の法的効果によって里親としての地位が失われるものではないとした。また、児童福祉法は専ら児童の福祉の実現を目的とし、里親委託措置の解除に当たって里親の固有の利益を個別的利益として保護する趣旨を含むとは解されないとして、行政事件訴訟法9条2項に照らしても里親の原告適格は認められないと結論付け、訴えを却下した。 次に争点(2)について、知事等と里親との関係は準委任に準じた公法上の契約関係と解されるから、個別の里親への児童の委託を解除する行為は委任者の契約解除権の行使であり、公権力の行使によって里親の地位を喪失させるものではないとして、本件委託解除は抗告訴訟の対象となる処分に当たらず、その取消訴訟は不適法であるとした。 争点(3)については、里親委託措置解除処分に係る審査請求は申立適格を欠き、本件委託解除は審査請求の対象となる処分に当たらないから、本件裁決を取り消したとしても裁決行政庁としては改めて却下するほかないとして、訴えの利益を否定した。 以上より、争点(4)(5)について判断するまでもなく、原告らの本件各訴えはいずれも不適法であるとして却下した。