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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10003
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年11月11日
裁判官
鶴岡稔彦高橋彩鶴岡稔彦

AI概要

【事案の概要】 原告バイエル薬品株式会社は,「ランタン化合物を含む医薬組成物」と題する特許(本件特許)の特許権者である。炭酸ランタンは慢性腎臓病患者の高リン血症改善薬として用いられるが,摂水制限や嚥下困難の患者にも服用しやすい口腔内崩壊錠(OD錠)への製剤化が課題であった。本件特許は,炭酸ランタンを高含有率(70〜90質量%)で含みつつ,崩壊剤としてクロスポビドンを一定比率配合した口腔内崩壊錠に関する発明である。 被告コーアイセイ株式会社は本件特許につき無効審判を請求し,特許庁は原告の訂正を認めた上で,請求項6,28〜45に係る発明についてサポート要件違反を理由に無効とする審決をした。原告は,審決のうち特許無効とした部分の取消しを求めて,知的財産高等裁判所に本件訴訟を提起した。 【争点】 主たる争点は,本件発明がサポート要件(特許法36条6項1号)を満たすかである。具体的には,本件発明の課題である「速やかな崩壊性,高い硬度及び低い摩損度の両立」のうち,「低い摩損度」の意義に「明らかなひび・割れ・欠け」がないことが含まれるか,含まれるとして,本件明細書の実施例4(摩損度0.4%であるが,12錠中7錠に明らかなひび・割れ・欠けが認められる)が課題を解決していると当業者が認識できる範囲にあるかが争われた。原告は,摩損度とひび・割れ・欠けは別概念であること,課題解決は総合的に判断すべきこと,市販品として問題のないOD錠が提供されていること,打錠圧の調整や予圧の実施によりひび・割れ・欠けは解消可能であることが技術常識であったことなどを主張した。また,審判体が打錠圧に関する技術常識について被告の主張に基づかない独自認定をしたとして審理不尽(特許法153条2項違反)も争点となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は,原告の請求を棄却した。 裁判所は,本件明細書が摩損度について日本薬局方参考情報に従うとし,同情報が「明らかにひび,割れ,あるいは欠けの見られる錠剤があるときはその試料は不適合である」としていることから,「低い摩損度」概念には「明らかなひび・割れ・欠け」がないことも含まれると解するのが相当であると判断した。その上で,実施例4は摩損度自体は0.4%であるものの,12錠中7錠に明らかなひび・割れ・欠けが認められ,日本薬局方参考情報に照らせば不適合試料となるにもかかわらず,明細書にはどのような方法で摩損度を測定したのかについての説明もないため,当業者は本件課題が実現されていることを理解できないとした。 また,打錠圧の調整や予圧の実施によりひび・割れ・欠けを解消できるとの技術常識があるとは認められず,原告が提出した後出しの実験データ(甲45,53,55)も当該技術常識を裏付けるものではないから参酌できないとして,サポート要件違反を認めた特許庁の判断を是認した。 審理不尽の主張についても,サポート要件の主張立証責任は特許権者が負うのであり,審判体は原告の主張立証を排斥したにすぎず,新たな無効理由を認定したわけではないから,特許法153条2項違反はないとして退けた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。