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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10015
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年11月11日
裁判官
鶴岡稔彦山門優高橋彩

AI概要

【事案の概要】 原告(湖北工業株式会社)は「電解コンデンサ用タブ端子」に関する特許(特許第4452917号)の特許権者である。被告(株式会社アプトデイト)が平成28年に特許庁に無効審判を請求したところ、原告は平成30年4月に訂正請求をした。しかし特許庁は、訂正を認めず、本件特許を無効とする審決をした。これを不服とした原告が審決の取消しを求めて提訴したのが本件である。 本件特許発明は、鉛フリーのスズメッキが施されたリード線とアルミ芯線の溶接部に酸化スズを形成することで、ウィスカ(針状結晶)の発生を抑制しつつハンダ濡れ性を維持する技術である。原告は訂正請求において、本件特許の請求項にJIS C-0053はんだ付け試験方法に準拠して測定される「ゼロクロス時間」の上限値(2.50秒以下、2.35秒以下、2.85秒以下など)を付加する訂正を行った。特許庁は、これらの訂正事項について、上限値の根拠が明細書にないこと、下限値が特定されていないことなどから、新規事項の追加に当たるとして訂正を認めなかった。 【争点】 争点は、(1)訂正事項A~D(ゼロクロス時間の上限値を付加する訂正)が新規事項の追加に当たるか否か、(2)本件発明7(プロダクト・バイ・プロセス・クレーム)が明確性要件に適合するか否かの2点である。 原告は、ゼロクロス時間は小さいほど好ましく上限値のみを規定するのが技術常識であり、下限値には技術的意味がないから、上限値のみを付加する訂正は明細書の記載から自明である旨主張した。被告は、明細書には実施例としていくつかのゼロクロス時間の値が記載されているに過ぎず、連続的な数値範囲や境界値としての上限値は記載されていないと反論した。 【判旨】 知的財産高等裁判所第3部は、原告の請求を棄却した。 裁判所は、特許請求の範囲の減縮を目的として限定を付加する訂正は、付加される訂正事項が明細書等に明示的に記載されているか、その記載から自明である場合には、新たな技術的事項を導入しないものといえると判示した。その上で、ゼロクロス時間の下限値について検討し、訂正事項A-b等はゼロクロス時間を実質的に「0秒以上2.50秒以下」などの範囲に限定する訂正であると整理した。 そして、本件明細書には、酸化スズ形成処理がされたタブ端子として、ゼロクロス時間が2.40秒、2.35秒、2.30秒の実施例が記載されているに留まり、0秒以上2.30秒未満のタブ端子についての明示的な記載はないこと、熱処理温度とゼロクロス時間との間に単調な相関関係が認められず、測定された各温度以外の熱処理温度におけるゼロクロス時間を予測することは困難であること、溶剤処理においてもゼロクロス時間が2.30秒未満となる具体的処理は明細書から推測できないことを認定した。 以上から、本件明細書の記載からは、ゼロクロス時間を2.30秒未満とした上でウィスカの発生を抑制することが自明であるとはいえず、技術常識を勘案しても同様であると判示した。原告が主張する「下限値には技術的意味がない」という点については、技術的意味の有無と、明細書等への明示的記載・自明性とは別の問題であると退けた。 本件発明7の明確性要件についても、プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する最高裁平成27年6月5日判決を引用し、出願時に物の構造・特性により直接特定することが不可能又は非実際的である事情の主張立証がないことから、明確性要件に適合しないとした審決の判断に誤りはないとした。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。