不正競争行為差止請求権不存在等確認等請求事件,不正競争行為差止請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、衣料品等の企画・製造販売を営む原告(株式会社サンエー・インターナショナル)と、アメリカ人ファッションデザイナーである被告ジル・スチュアート及びその管理を行う米国法人被告会社との間の紛争である。 原告は、平成19年4月13日付けで被告会社との間で「ジル・スチュアート」ブランドに関する業務委託契約修正・改訂契約(修正サービス契約)を締結し、ブランド相談業務、広告制作業務、ファッションショー経費、サンプル提供等の対価として各契約年度ごとに80万〜100万ドルの業務手数料を先払いしていた。原告は「サンプル及び諸経費」として平成24年度分45万ドルを支払ったが、被告会社が平成25年春用及び秋用のサンプル提供を怠ったとして、平成25年1月に同契約を解除し、本訴においてニューヨーク州法所定の年9%の遅延損害金を付した45万ドルの返還を求めた。 これに対し被告らは、原告が店舗やウェブサイトで「JILLSTUART」等の表示を小売商標として使用することは不正競争防止法上の周知表示混同惹起行為等に当たるなどと主張し、表示の使用差止めを求める反訴を提起した。 【争点】 主な争点は、(1)日本の裁判所の国際裁判管轄の有無、(2)被告会社の45万ドル返金義務の存否及び返金額、遅延損害金の利率・起算日、(3)商標権譲渡契約の譲渡対象範囲と原告による表示1〜4の小売商標としての使用権原の有無、(4)原告による被告ジルのパブリシティ権侵害及び品質誤認表示該当性である。 【判旨】 東京地裁は、以下のとおり判示して、本訴請求を45万ドル及び平成25年2月27日以降の年9%遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求と反訴請求をいずれも棄却した。 国際裁判管轄について、修正サービス契約6条(i)の専属的管轄合意の主体は文言どおり「トラスト」と認められ、被告会社の誤記とはいえないから、原告・被告会社間の専属的管轄合意は存在せず、返還債務の履行地が日本国内にあるため、民訴法3条の3第1号により日本の裁判所の管轄が認められるとした。 返金義務について、「サンプル及び諸経費」はサンプルの対価及びその提供に必要な経費を意味し、被告会社が平成24年度に提供すべきサンプルは平成25年春用及び秋用であったにもかかわらずこれを提供しなかったから、同契約3条(d)に基づき45万ドル全額の返金義務を負うと判断した。諸経費分を控除すべきとの主張も、サンプルと諸経費は一体のものとして返金対象になるとして排斥した。遅延損害金はニューヨーク州法に基づき年9%とし、起算日は解除の効力発生日の翌日である平成25年2月27日とした。 反訴については、商標権譲渡契約の譲渡対象が「Jill Stuart及びデザイナーであるジル・スチュアートに関連している全ての派生物」とされ、屋号・サービスマーク・ブランド名等を広範に含み、紳士服用の「Stuart-Curtis」商標のみが除外されていることから、原告は表示1〜4を小売役務商標として、また女児用衣服等の商品にも自由に使用できると認定した。パブリシティ権侵害及び品質誤認表示の主張についても、表示5及び6は商標権譲渡契約により許容された使用の範囲内であり、違法性はないとして排斥した。