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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10110
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年11月14日
裁判官
大鷹一郎古河謙一岡山忠広

AI概要

【事案の概要】 本件は、後発医薬品メーカー3社(原告東和薬品、原告日本ケミファ、原告ヘキサル)が、被告ジー・ディー・サール社の保有する特許第3563036号(発明の名称「セレコキシブ組成物」)について、特許無効審判を請求したところ、特許庁が訂正を認めた上で請求不成立(特許有効)の審決をしたため、審決の取消しを求めた審決取消請求事件である。 本件特許は、関節リウマチ、骨関節炎、痛み等の治療に用いられるシクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害剤「セレコキシブ」の製薬組成物に関するものである。請求項1は、薬剤的に許容な賦形剤と混合した10mgないし1000mgの微粒子セレコキシブを含む経口投与可能な製薬組成物であって、粒子の最大長において「セレコキシブ粒子のD90が200μm未満」(粒子の9割が200μmよりも小さいという粒度分布)である点を特徴としていた。 原告らは、甲イ8(国際公開公報)や甲イ15(学会要旨)との関係での新規性・進歩性欠如、明確性要件違反、実施可能要件違反のほか、本件発明がセレコキシブ粒子のD90が200μm未満という広範な数値範囲全体にわたり発明の課題を解決できると当業者が認識できない旨(サポート要件違反)等を無効理由として主張した。 【争点】 複数の取消事由が争われたが、判決が判断の対象とした主たる争点は、本件特許の請求項1ないし5、7ないし19がサポート要件(特許法36条6項1号)に適合するか否かである。具体的には、本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件優先日当時の技術常識から、当業者が、「セレコキシブ粒子のD90が200μm未満」という数値範囲の全体にわたって、未調合のセレコキシブと比較して凝集力が小さく、ブレンド均一性が高く、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)に優れるとの本件発明の課題を解決できると認識できるかが問題となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告らの取消事由4(サポート要件の判断の誤り)を容れ、本件審決のうち請求項1ないし5、7ないし19に係る部分を取り消した。 裁判所は、本件明細書においてD90が200μm未満である構成を具体的に開示するのは例13(約37μm以下)と例15(約30μm以下)のみであり、例13の生物学的利用能の改善はポリビニルピロリドンを用いた湿式顆粒化による蓋然性があり、例11・例11-2の「組成物A」「組成物B」における改善効果も、好ましい配合量を超えて含まれるラウリル硫酸ナトリウム(加湿剤)による影響を否定できないと認定した。その上で、これらの限定的な実験結果から、粒子径がより大きい領域(30μmを超え200μm未満の広い範囲)まで含めて未調合セレコキシブより生物学的利用能が改善されると当業者が認識することはできないと判断した。 よって、本件発明1はサポート要件に適合せず、これを引用する本件発明2ないし5、7ないし19についても同様にサポート要件を欠くから、サポート要件適合性を認めた本件審決の判断は誤りであるとして、その余の取消事由について判断するまでもなく、本件審決中の当該部分を取り消した。数値範囲を特徴とする医薬発明について、明細書の実験例が数値範囲の狭い一部にとどまる場合におけるサポート要件充足性の判断の在り方を示した事例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。