道路占用許可処分取消及び裁決取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1行コ197
- 事件名
- 道路占用許可処分取消及び裁決取消請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2019年11月14日
- 裁判官
- 村田渉、一木文智、建石直子
AI概要
【事案の概要】 本件は、高速自動車国道である関越自動車道新潟線の練馬区区間の周辺に居住する控訴人ら(一審原告のうち控訴した者)が、国土交通大臣に代わって高速自動車国道の道路占用を許可する権限を有する被控訴人に対し、同高架下に高齢者センター、リサイクルセンター、スポーツ関連スペース、地域交流スペース及び倉庫等を整備する事業に係る道路占用許可処分(練馬区長に対する平成26年9月26日付け処分及び平成28年3月31日付け変更処分)の取消しを求め、併せて、これらの処分により精神的苦痛を受けたとして、国家賠償法1条1項に基づき1人当たり12万5000円の慰謝料等の支払を求めた事案である。 原判決は、一審原告のうち2名の取消しの訴えを原告適格を欠くとして却下し、控訴人らを含むその余の取消請求を棄却し、損害賠償請求は全員について棄却した。これに不服の控訴人らが控訴したのが本件である。 【争点】 当審では、控訴人らが、道路法32条5項(道路管理者と警察署長の協議規定)は交通警察権を通じて国民の生命・身体の安全を保護する趣旨を含むから、控訴人らの原告適格を基礎付ける規定に該当し、同規定違反の主張は行政事件訴訟法10条1項による主張制限(自己の法律上の利益に関係のない違法の主張制限)を受けないと主張したことから、同主張の当否が主たる争点となった。その前提として、高架下に本件各施設を設置することが道路交通法77条1項1号の「工事若しくは作業」又は同項2号の「工作物」の設置等に当たり、警察署長の許可・協議を要するか否かも争われた。また、17号通達留意事項及び19号通達許可基準が道路法33条1項にいう「政令で定める基準」に当たるか、本件各処分が右各通達や安全性の原則に違反し裁量権を逸脱濫用したかも争点となった。 【判旨】 本判決は、控訴をいずれも棄却した。 道路の占用許可(道路法32条1項)と警察署長による道路使用許可(道路交通法77条1項)とは権限の根拠・作用を異にするが、競合する場合があるため相互の協議により調整を図るべきものとされている(道路法32条5項、道路交通法79条)。しかし、本件高架下区間に高齢者センター等を設置することは、道路交通法77条1項2号にいう「石碑、銅像、広告板、アーチ」等に類する工作物の設置に当たらず、また同項1号の「工事若しくは作業」にも当たらない。したがって本件各施設の設置につき警察署長の許可を要するとは解されず、関越自動車道を通行する車両の交通の安全と円滑を阻害するおそれも認められないから、道路管理権と交通警察権の調整を要する場合には当たらない。よって道路法32条5項を原告適格の根拠とする控訴人らの主張は前提を欠き採用できず、行政事件訴訟法9条2項の趣旨を考慮しても結論は左右されない。 また、17号通達留意事項及び19号通達許可基準は、行政機関がその所掌事務について発する通達にすぎず、道路法33条1項にいう「政令で定める基準」と同視することはできない。これらは道路占用の許可に係る裁量権行使の恣意を防ぎ予測可能性を確保するための裁量基準と解され、その掲げる考慮要素に特段不合理な点はない。本件各処分がこれら裁量基準や安全性の原則に違反するとは認められず、一部の考慮要素を考慮しなかったとしても、それは控訴人らの法律上の利益に関係のない違法にとどまり本件訴訟で主張しえない。以上によれば原判決は相当であり、控訴はいずれも理由がない。