AI概要
【事案の概要】 本件は、Amazon.co.jp(本件ウェブサイト)を運営する原告が、同サイト上で販売する5商品について、実際の販売価格を上回る「参考価格」を見え消し状態で併記し、実際の販売価格が「参考価格」に比して安いかのように表示したことが、景品類及び不当表示防止法(景表法)5条2号が規定する有利誤認表示に該当するとして、消費者庁長官から景表法7条1項に基づく措置命令を受けたため、その取消しを求めた事案である。問題となったのはクリアホルダー3商品(本件表示①)、商品④(本件表示②)、商品⑤(本件表示③)の計5商品であり、参考価格は、製造事業者が社内の商品管理上便宜的に定めた価格、希望小売価格より高く任意に設定された価格、あるいはシステム上の過誤により誤って表示された価格であった。原告は、参考価格を自ら決定した事実はないこと、本件各表示は一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがないこと等を主張した。 【争点】 主な争点は、(1)原告が本件各表示をした事業者といえるか(表示主体性)、(2)本件各表示が実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であったか、(3)消費者庁長官の裁量権の範囲からの逸脱・濫用の有無、(4)措置命令発出手続の適法性、(5)理由の提示の不備の有無である。 【判旨】 東京地裁は原告の請求を棄却した。表示主体性について、景表法上「不当表示を行った者」とは表示内容の決定に関与した事業者をいい、自ら積極的に決定した者のみならず、他の事業者にその決定を委ねた者も含まれると解した上で、原告は、仕入先や出品者が入力した参考価格の中から一つを自社のシステムにより選別して表示する仕組みを自ら構築し、本件5商品を「Amazon.co.jpが販売、発送します」と表示して販売していたのであるから、本件各表示の表示内容の決定に関与した事業者に該当すると認めた。有利誤認表示該当性については、公正取引委員会の二重価格表示ガイドラインに照らし、本件表示①の参考価格は製造業者が小売業者向けカタログ等で広く呈示しているとはいえない「参考上代」にすぎず、本件表示②・③の参考価格はいずれも事実に基づかない虚偽の価格であったから、いずれも「一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当する」ものと認定した。原告が提出したウェブアンケート調査による分析結果についても、調査設計や統計処理の問題を指摘し、認定を左右しないとした。裁量権の逸脱・濫用、手続の適法性、理由提示のいずれについても違法はないとして、本件措置命令は適法であると結論付けた。