土地区画整理組合認可取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 京都府亀岡市のJR亀岡駅北側に位置する乙地区を含む甲土地区画整理事業について、亀岡市長は、平成26年6月、甲土地区画整理組合の設立認可(本件設立認可)を行い、平成29年5月、京都スタジアム(仮称)の建設用地を本件予定地東側に変更したことなどに伴う事業計画の変更認可(本件変更認可)を行った。本件予定地は、過去に桂川等の氾濫により浸水被害を受けたことがあり、洪水時の遊水池として機能していた農地であったが、本件区域変更(平成26年1月)により市街化調整区域から市街化区域へ編入されていた。亀岡市の住民である原告らは、本件予定地内に含まれていた乙地区は本来市街化区域とすべきでない「溢水、湛水等による災害の発生のおそれのある土地の区域」に当たる、本件事業により遊水機能が失われ周辺住民の水害被害が深刻化するなどと主張し、土地区画整理法21条2項等への違反を理由に、本件設立認可及び本件変更認可の取消しを求めた。 【争点】 本案前の争点として、本件変更認可に抗告訴訟の対象となる処分性があるか、原告Aを除く原告ら(周辺住民)に原告適格があるかが争われた。本案の争点としては、乙地区を市街化区域に編入した本件区域変更が違法で本件設立認可も違法となるか、本件予定地が「市街地とするのに適当でない地域」(土地区画整理法21条1項3号)に当たるか、都市計画法33条1項の災害防止措置が必要か、農地法違反等があるか、地権者の同意(同法18条)が民法95条の錯誤により無効となるかが争われた。 【判旨】 京都地裁は、まず本件変更認可について、新たな施行地区の編入を伴わない事業計画の変更認可は、特段の事情がない限り、施行地区内の宅地所有権者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすものとはいえず、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないと判断した。本件変更認可は公共用地の地積拡大や減歩率の変更等にとどまり、新たな施行地区の編入はないから、処分性を欠き、その取消請求は却下した。 次に周辺住民の原告適格については、根拠法令である土地区画整理法及び都市計画法は、違法な事業の施行に起因して水害等による健康・生活環境への著しい被害を直接的に受けるおそれのある者の利益を個別的利益としても保護する趣旨を含むとした上で、本件では日吉ダムの竣工や桂川改修事業の進展により治水安全度が向上しており、原告らが主張する氾濫解析は用地変更前の計画を前提としたものであるなどとして、著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとは認められないと判断し、原告適格を否定した。 本案については、本件区域変更に関する京都府知事の判断は広範な裁量に委ねられるとした上で、昭和46年以来の都市計画の経緯、日吉ダム竣工、桂川改修全体計画の当面計画概成(平成21年度)による10分の1の治水安全度確保、事前協議における治水計画上支障なしとの判断等を総合考慮すれば、社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものではなく、裁量権の逸脱・濫用は認められないと判断した。平成25年台風18号による浸水は発生確率100分の1の異例なもので、むしろ水位低下効果が確認された点を指摘した。「市街地とするのに適当でない地域」該当性、都市計画法33条1項の適用、農地法違反、同意の錯誤無効の主張もいずれも退け、原告Aの設立認可取消請求を棄却した。