著作権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、著作権等管理事業法に基づき文化庁長官の登録を受けた音楽著作権等管理事業者(JASRAC)であり、音楽著作権者から著作権の信託を受け、音楽利用者に対して利用を許諾し使用料を徴収・分配することを業とする一般社団法人である。被告C及び被告Dは、いずれも福岡市内でパブ・バーを経営する会社であり、被告Aは被告Cの代表取締役、被告Bは被告Dの代表取締役で、被告Aと被告Bは夫婦の関係にある。被告らは同一のホームページ上で被告Aを代表とするチェーン店として全9店舗を共同運営していた。 原告の職員は、平成27年4月7日に本件各店舗を訪問し、いずれの店舗においてもオーディオ装置により録音物を再生する方法で原告の管理著作物をBGMとして利用していることを確認した。平成30年12月から平成31年3月にかけて実施した実態調査でも、各店舗で1〜2時間半の間に21〜35曲の管理著作物がBGMとして使用されていた。原告は平成10年以降、案内文書の送付、職員派遣、民事調停の申立て(被告らが期日を欠席し不成立)、複数回の警告書送付等により再三にわたり著作権利用許諾手続を求めたが、被告Aは「手続をするつもりはない。」と回答するなど、被告らは一貫して対応を拒否した。 そこで原告は、著作権(演奏権)侵害を理由として、管理著作物の使用差止めと、平成27年4月1日から平成31年4月30日までの使用料相当損害金40万8240円(主位的に不法行為による損害賠償、予備的に不当利得返還請求)及び遅延損害金の連帯支払を求めて本訴を提起した。 【争点】 第1に、被告らによる管理著作物の無断使用による著作権侵害の成否及び差止めの必要性、第2に、別法人である被告Cと被告Dの間で共同不法行為が成立するか、第3に、使用料相当損害金の算定(旧規程・新規程の適用関係)が争点となった。もっとも、被告D及び被告Bは答弁書を提出せず、被告C及び被告Aは答弁書を提出したものの請求原因事実の認否を明らかにしなかった。 【判旨】 裁判所は、被告D及び被告Bについては民訴法の規定により請求原因事実を自白したものとみなし、被告C及び被告Aについても請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして自白したものとみなした。その上で、被告らは遅くとも平成27年4月7日以降、本件各店舗において再生装置を用いて原告の管理著作物をBGMとして利用し著作権を侵害してきたと認定し、利用許諾契約の締結や使用料相当額の支払を拒否している以上、今後も侵害のおそれがあるとして差止めの必要性を認めた。 共同不法行為の成否については、被告Cと被告Dが別法人であるとの主張を善解した上で、代表取締役である被告A・被告Bが夫婦であること、ホームページで同系列チェーンとして宣伝していること、店舗間で従業員の異動が行われていることに照らし、本件各店舗は実質的に被告らが共同して経営していたものと認められるから、被告らは共同不法行為責任を負うと判示した。 損害額については、原告使用料規程に基づき、平成27年4月1日から平成29年3月31日までは旧規程の年額使用料6000円×9店舗×2年×消費税、平成29年4月1日から平成31年4月30日までは新規程の月額使用料1200円×9店舗×25か月×消費税として合計40万8240円と算定し、原告の請求を全部認容した。