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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10115
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年11月28日
裁判官
森義之眞鍋美穂子熊谷大輔

AI概要

【事案の概要】 本件は,ニプロ株式会社(原告)が,イーライリリー社(被告)の保有する特許(「新規な葉酸代謝拮抗薬の組み合わせ療法」に関する特許第5102928号)について無効審判を請求したところ,特許庁が請求不成立の審決をしたため,原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。 本件特許は,抗がん剤であるペメトレキセート二ナトリウム塩(商品名アリムタ。悪性胸膜中皮腫や非小細胞肺がん等に用いられる葉酸代謝拮抗薬)の投与に伴う重篤な毒性(好中球減少,血小板減少,感染症,死亡など)を低下させつつ抗腫瘍活性を維持するため,葉酸とビタミンB12を特定の用法・用量で組み合わせて投与するというものである。 【争点】 争点は,(1)進歩性欠如(引用文献である甲1発明に,葉酸に加えてビタミンB12を併用することを当業者が容易に想到し得たか),(2)新規性欠如(本件優先日前に国外で実施されていた第II相臨床試験により,本件発明が公然知られ又は公然実施された発明に該当するか)の2点である。 【判旨】 知的財産高等裁判所は,原告の請求を棄却し,特許の有効性を維持する判断を示した。 進歩性については,甲1発明に葉酸を併用することは技術常識であったと認めつつも,葉酸補充だけでは不十分であるとする文献上の指摘は存在せず,他の活性成分を追加投与する必要性も示唆されていなかったと認定した。また,本件優先日当時,血漿ホモシステイン値がペメトレキセート投与時の毒性発現を予測する指標であることは知られていたが,「ベースライン時のホモシステイン値を低下させておけば毒性発現が抑制される」という因果関係までは技術常識として存在していなかったと判断した。さらに,メチルマロン酸値と毒性発現との間に相関関係がないとする先行文献の指摘からすれば,当業者はビタミンB12の欠乏ではなく葉酸の欠乏こそが毒性発現に関係すると考え,葉酸補充の方向に進むのが自然であり,甲1発明にビタミンB12を組み合わせる動機付けは認められないとした。 新規性については,本件臨床試験はICH-GCPガイドラインに沿って実施され,参加患者にインフォームド・コンセントとして一定の情報提供がされていたと推認されるものの,MTA・葉酸・ビタミンB12の具体的な投与量・投与時期・投与経路や「毒性を低下し抗腫瘍活性を維持する」という発明の本質的内容まで同意書面等に記載され,あるいは患者の求めに応じて実際に開示される体制が構築されていたとは証拠上認められないとし,本件発明が公然知られ又は公然実施された発明には該当しないと結論付けた。 本判決は,ジェネリック医薬品参入を阻む抗がん剤特許(アリムタ特許)の有効性を肯定したものであり,ビタミンB12併用投与の発明性を認めた点に医薬品特許実務上の意義がある。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。