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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10116
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年11月28日
裁判官
森義之眞鍋美穂子熊谷大輔

AI概要

【事案の概要】 本件は、抗がん剤に関する特許無効審判の不成立審決の取消訴訟である。被告(イーライ リリー アンド カンパニー)は、「新規な葉酸代謝拮抗薬の組み合わせ療法」と題する特許(第5469706号)を有しており、その内容は、腫瘍増殖抑制のためのペメトレキセート二ナトリウム塩(アリムタ)を、葉酸及びビタミンB12と併用投与するという特定のレジメを採用した医薬である。具体的には、葉酸0.3mg〜5mgを当該医薬の投与前に、ビタミンB12の500μg〜1500μgを第1回投与の1〜3週間前に投与することで、毒性低下と抗腫瘍活性維持を実現するという技術を内容とするものである。 原告(ニプロ株式会社)は、後発薬メーカーとして本件特許の無効を求め、特許庁に無効審判を請求したが、特許庁は平成30年7月4日に不成立審決をした。これを不服とした原告が、本訴を提起したものである。 【争点】 争点は主として、進歩性欠如の有無(取消事由1)、及び新規性欠如の有無(取消事由2)である。 進歩性との関係では、ペメトレキセート(MTA)と葉酸を併用する公知文献(甲1、甲5等)から、さらにビタミンB12を併用投与する本件発明に当業者が容易に想到できたか否かが問題とされた。特に、本件優先日(平成12年6月30日)当時、血漿中ホモシステイン値がMTA投与時の毒性発現を予測する指標として知られており、かつ葉酸及びビタミンB12の併用投与がホモシステイン値を低下させることも技術常識であったことから、当業者がこれらを組み合わせる動機付けを有していたかが核心的争点となった。 新規性との関係では、本件優先日前に実施されていた第II相臨床試験(本件臨床試験)において、ビタミン補給を受けた患者がICH-GCPガイドラインに基づくインフォームドコンセントを通じて、具体的な投与量・投与時期・投与経路等の情報を知り得る状況にあったか否かが争点となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所第2部は、原告の請求を棄却した。 進歩性について、裁判所は、本件優先日当時の公知文献はいずれも、ベースライン時のホモシステイン値がMTAの毒性発現を予測する指標であることを指摘しているに留まり、「ホモシステイン値を事前に低下させればMTAの毒性発現が抑制される」という因果関係までは読み取れないと判示した。また、ニイキザ文献(甲7)は、メチルマロン酸値(ビタミンB12欠乏の選択的指標)とMTA毒性の間に相関関係がないと指摘しており、当業者はむしろ葉酸補充の方向に進むと推認され、ビタミンB12を追加投与する方向への動機付けは生じないと判断した。したがって、甲1発明(葉酸とGAR-トランスホルミラーゼ阻害剤の併用)に、さらにビタミンB12を組み合わせることを当業者が容易に想到し得たとはいえないとした。 新規性について、裁判所は、本件臨床試験がICH-GCPガイドラインに沿って行われたものの、同ガイドラインには「治験の目的」「処置の内容」等として開示すべき具体的情報の範囲について明示的な定めがなく、MTA・葉酸・ビタミンB12の具体的投与量や投与時期、「毒性低下及び抗腫瘍活性維持を特徴とすること」までが患者に開示されていたと認めることはできないと判示した。A医師の宣誓供述書(甲23)についても、他の関係者C(甲133)の供述との齟齬から信用性を否定し、本件臨床試験を通じて本件発明が「公然知られた」又は「公然実施された」と認めることはできないとした。 以上により、本件発明1〜17は進歩性・新規性いずれも欠くものではなく、本件審決に誤りはないとして、原告の請求を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。