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下級裁

(事件名なし)

判決データ

事件番号
平成30行コ35
事件名
(事件名なし)
裁判所
福岡高等裁判所
裁判年月日
2019年11月29日
裁判官
西井和徒上村考由佐伯良子
原審裁判所
長崎地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 長崎県と佐世保市を起業者とする「二級河川川棚川水系石木ダム建設工事並びにこれに伴う県道,町道及び農業用道路付替工事」(本件事業)について,国土交通省九州地方整備局長(処分行政庁)が平成25年9月6日付けで土地収用法20条に基づく事業認定処分(本件事業認定)を行った。石木ダムは堤高55.4メートル,総貯水容量548万立方メートルの重力式コンクリートダムで,洪水調節と佐世保市の水道用水確保を目的としており,事業費は約285億円であった。 本件起業地内の土地・建物の所有者(控訴人所有者ら),居住者(控訴人居住者ら),元居住者(控訴人元居住者ら)である原告らは,本件事業認定は洪水調節の必要性や水需要予測を欠き,土地収用法20条3号(事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること)及び4号(土地の収用・使用の公益上の必要性)に違反する違法な処分であるとして,本件事業認定の取消しを求めた。原審(長崎地裁)は,起業地内に土地・建物の所有権等を有しない控訴人らについては原告適格を否定して訴えを却下し,その余の請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴した。 【争点】 (1)控訴人居住者ら,元居住者ら及び控訴人Jの原告適格(本案前)の有無,(2)法20条3号の要件該当性(事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するか。洪水調節・利水需要の必要性と代替案検討の合理性を含む),(3)法20条4号の要件該当性(土地を収用又は使用する公益上の必要性の有無)の3点。 【判旨】 本件各控訴をいずれも棄却。 原告適格について,土地収用法は公共の利益と起業地内の財産的権利との調整を図るものであり,補償対象は財産権に限られるから,起業地内に財産的権利を有しない者の人格権等を個別的利益として保護する趣旨は含まない。控訴人居住者らは建物所有者と共に居住する者にすぎず所有者と別個独立に補償を受けるべき正当な利益を有せず,元居住者らは起業地内に財産的権利を有しないから,いずれも原告適格を欠く。 法20条3号の要件該当性については,事業認定の適否の判断は事業計画の内容,公共の利益,起業地の状況など多種多様な利益の比較衡量による総合判断であり,政策的・技術的見地からの判断が不可欠であるから,処分行政庁の裁量に委ねられる。裁判所の審査は,基礎とされた重要な事実の誤認,事実評価が明らかに合理性を欠くこと,考慮すべき事情を考慮しないこと等により社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認められる場合に限り裁量権の逸脱濫用として違法となる(最高裁平成18年11月2日第一小法廷判決参照)。 その上で本判決は,川棚川流域の計画規模(1/100)の設定,基本高水流量の算定,石木ダムによる洪水調節効果,佐世保市の水需要予測(過去最大値に基づく目標年度給水量の設定),保有水源の評価(老朽化ダムの更新の必要性,慣行水利権の不安定性),代替案との比較検討(ダム案が経済性・社会性の両面で最適と判断された点)について,いずれも処分行政庁及び起業者の判断過程に不合理な点はなく,裁量権の逸脱濫用はないと認定した。 法20条4号の要件該当性についても,本件事業の公益性と私的利益の喪失とを比較衡量した処分行政庁の判断は合理性を欠くものではなく,昭和47年に県知事と地元3郷の総代との間で交わされた覚書(ダム建設にあたりあらかじめ書面による同意を得るとする内容)が存在するとしても,土地収用法20条の要件審査において私法上の権利義務関係は審査対象ではないから,仮に覚書の合意が有効に形成されていたとしても事業認定の適法性には影響を与えないとした。 以上より原判決は相当であり,各控訴をいずれも棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。