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下級裁

傷害致死被告事件

判決データ

事件番号
平成31う5
事件名
傷害致死被告事件
裁判所
名古屋高等裁判所
裁判年月日
2019年11月29日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
堀内満田中聖浩大久保優子
原審裁判所
名古屋地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 バーの店員である被告人両名は、共謀の上、飲食代金をめぐるトラブルから立腹し、客である被害者に対し、蹴って階段から落とす、顔面を壁に打ち付ける、顔面にかかと落としをする、頭部を床に打ち付ける、頭部等を多数回手拳や灰皿で殴る、蹴るなどの激しい暴行(第1暴行)を加えた。その後、別の客Cも被害者に対し、階段の手すりにつかまって寝ている被害者の顔面・頭部・胸部を踏み付けた上、両足を持って3階まで引きずり下ろし、頭部や腹部をサッカーボールを蹴るように数回蹴るなどの暴行(第2暴行)を加えた。被害者は、一連の暴行により急性硬膜下血腫等の傷害を負い、同血腫による急性脳腫脹により死亡したが、いずれの暴行が死因となった傷害を生じさせたかは特定できなかった。 本件は差戻後控訴審である。差戻前第1審は刑法207条(同時傷害の特例)の適用を否定して傷害罪の限度で有罪としたが、差戻前控訴審で破棄差戻しとなり、最高裁平成28年3月24日決定が同条の適用要件を明示した上で上告棄却決定をした。差戻後第1審(名古屋地裁)は、同条を適用して被告人両名に傷害致死罪を認め、懲役10年を言い渡したため、被告人両名が控訴した。 【争点】 第1に、第1暴行と第2暴行の「機会の同一性」が認められるか。第2に、被告人らが刑法207条の責任を免れるために立証すべき命題の内容、すなわち、第1暴行のみによって本件傷害を生じさせた可能性を否定すれば足りるか、それとも第1暴行と第2暴行が相まって生じさせた可能性まで否定する必要があるか。第3に、被告人らがその不存在を立証できたといえるか、K医師の証言の評価を含む事実認定の当否。第4に、量刑の相当性等である。 【判旨(量刑)】 名古屋高裁は、被告人両名の控訴をいずれも棄却した。 機会の同一性については、第1暴行と第2暴行の時間的場所的接着性、第1暴行による被害者に対する物理的・心理的支配状況の継続、Cが外観上その状況を利用する形で第2暴行に及んだこと、被告人らとCとの間の相互の暴行の認識・認容度に照らし、「外形的には共同実行に等しいと評価できる状況」があったと認められ、同一の機会性は肯定される。各暴行の目的・動機の共通性を常に必要とするのは失当である。 立証責任が転換された命題については、刑法207条の趣旨に照らし、時間的先後関係のある暴行事案では、後行暴行が先行暴行による傷害結果に寄与する場合も同条の射程に含まれる。したがって、被告人らが責任を免れるためには、第1暴行のみによって本件傷害を生じさせた可能性を否定するだけでは足りず、第1暴行と第2暴行が相まって生じさせた可能性をも否定する必要がある。 事実認定については、第1暴行が頭部に強度の衝撃を与える暴行を多数含み、本件傷害を生じさせ得る危険性を有していたこと、第2暴行開始前の被害者は既に身体状態がかなり悪化していたこと、確率論等から第2暴行のみによって本件傷害が生じた可能性は高くなく、第1暴行により各出血原因の一部ないし全部が生じて被害者の身体状態を悪化させ、第2暴行でさらに悪化して急性硬膜下血腫が形成されたとみるのが最も合理的であり、第2暴行のみが本件傷害を生じさせた可能性が他の可能性に優越するとは認められない。弁護側証人K医師の証言は、前提事実の誤認や統計に基づく医学的経験則の不当な適用等から採用できない。 量刑については、二人掛かりで抵抗不能の被害者に執ようかつ一方的に強度の暴行を繰り返した態様はCの暴行に増して極めて危険であり、請求代金がいささか高額であったことや被害者が先に被告人Aの首をつかむなどした経緯を考慮しても、傷害致死の中で非常に重い部類に属し、若年で前科がないこと等を考慮しても懲役10年はやむを得ない。弁論終結後の一部弁償も、量刑を破棄するほどの事情とは認められない。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。