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下級裁

発信者情報開示請求事件

判決データ

事件番号
令和1ワ7518
事件名
発信者情報開示請求事件
裁判所
大阪地方裁判所
裁判年月日
2019年12月3日
裁判官
末永雅之

AI概要

【事案の概要】 令和元年7月18日に発生した京都アニメーション放火事件(35名死亡)に関連して、インターネット上のウェブサイトに、放送法に基づき設立された原告法人(国内基幹放送等を行う)を名指ししたまとめ記事が投稿された。当該投稿は「Z1のZ4Dはなぜ放火犯の遺留品を回収したのか」とのタイトルを付し、男性が何かを拾い集める場面の画像を添付したうえで、別サイト(元サイト)の書き込みを再編集し、「なんで警察来る前に勝手に回収してんだよ」「Z1(一部伏せ字)の依頼殺人じゃね?」「Z1共犯説唱えられても仕方ないぞ」等の書き込みを並べる内容であった。原告は、この投稿の発信者に対し不法行為に基づく損害賠償請求を行う準備をしていたが、発信者を特定するためには、当該サイトに関するサーバーを管理・運営する被告(サーバー事業者)が保有する契約者の氏名・住所・メールアドレス等の発信者情報が必要であった。そこで原告は、プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)4条1項に基づき、被告に対し発信者情報の開示を求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 争点は、(1)本件投稿が原告の権利を明白に侵害するものといえるか(権利侵害の明白性)、(2)原告に発信者情報の開示を求める正当な理由があるか、の2点である。特に(1)については、本件投稿の大部分が別サイトからの転載(再編集)であったことから、一次的発信者でない発信者にも責任を問えるかが問題となった。また被告は、本件放火事件は連日詳細に報道されており、原告自身が投稿内容を否定する発信を行って報道もされたことから、閲覧者が投稿を信用するとは考え難いこと、原告は公共放送を担う社会的立場にあり批評には寛容であるべきことを主張し、名誉毀損は成立しないと反論した。 【判旨】 大阪地方裁判所は、原告の請求を全部認容した。裁判所はまず、表現が人の社会的評価を低下させるか否かは、一般の読者の普通の注意と読み方を基準に判断すべきとする最高裁判例(昭和31年7月20日、平成9年9月9日)の基準を確認した。そのうえで、本件投稿は、タイトル、添付画像、編集された多数の書き込みを全体としてみれば、原告又はその職員が本件放火事件に関与し、その関与を隠蔽するために警察よりも先に犯人の遺留品を回収したとの印象を一般閲覧者に与える内容であり、原告の社会的評価を低下させる表現として名誉ないし信用を侵害することが明らかであると判断した。転載・再編集である点についても、発信者は新たなタイトル付与、画像選択、多数の投稿からの抜粋編集を自ら行っており、その編集責任を免れないとした。さらに、連日の報道や原告自身の否定発信によって閲覧者が直ちに投稿を信じ込むとは考え難いとしても、投稿が上記の印象を与える内容であること自体に変わりはなく、原告が反論により社会的評価を一定程度回復したとしてもそれは原告側の行為の結果であって投稿の違法性評価は左右されないとした。原告が公共放送を担う立場にあることも、虚偽又は裏付けのない犯罪関与を示唆する表現の違法性を減じる理由にはならないとして被告の主張を排斥した。正当理由についても、原告が発信者に対する損害賠償請求を行うため発信者情報が必要であるから認められるとして、被告に対し氏名・住所・メールアドレスの開示を命じた。本判決は、まとめサイト型の転載・再編集による名誉毀損について、編集者自身の責任を肯定した裁判例として実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。