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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10175
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年12月4日
裁判官
高部眞規子小林康彦関根澄子

AI概要

【事案の概要】 本件は、医療機器メーカーである原告(シー・アール・バード・インコーポレーテッド)が保有する「アクセスポートおよびその識別方法」に関する特許(請求項6項、平成24年出願・平成28年登録)について、被告ら(ビー・ブラウンエースクラップ及びビー・ブラウンメディカル)が無効審判を請求した事案である。特許庁は平成30年8月、本件特許にサポート要件違反及び進歩性欠如があるとして、特許を無効とする審決を行った。これに対し、原告は本件審決の取消しを求め、知財高裁に出訴した。 本件特許の対象は、造影CT検査の際に患者の皮下に埋め込んで使用される「自動注入可能なアクセスポート」である。アクセスポートとは、抗がん剤療法や中心静脈栄養、造影剤注入など、繰り返し薬液を体内に送り込む必要がある治療の際に、皮下に留置しておく小型の医療器具で、外部から針を穿刺することで何度でも血管へのアクセスを可能にする。従来のアクセスポートは製造業者や型式が異なっても外形が類似しており、一度体内に埋め込むと医師がどの型式のポートかを外部から識別することが困難という課題があった。本件発明は、皮下埋め込み後にX線撮影により自動注入可能な型式か否かを識別できる特徴(例えば金属プレート等)を備えたアクセスポートを提供することで、誤った注入圧による機器破損リスクを防ぐことを目的としていた。 【争点】 主な争点は、①本件特許がサポート要件(明細書の記載要件。特許法36条6項1号)を満たすか、②先行文献(引用例1の造影CT耐圧試験論文及び引用例2の東レ製ポート添付文書)に基づいて本件発明を容易に発明できたか(進歩性の有無)、という特許無効審決取消訴訟の典型的な論点である。特に、進歩性判断では、別個独立の2つの刊行物の記載を組み合わせて単一の「主引用発明」を認定できるかという手法上の論点も争われた。 【判旨】 知財高裁第1部(高部眞規子裁判長)は、以下のとおり判断し、原告の請求を棄却した。 第一に、サポート要件について、本件明細書にはX線で可視な金属的特徴のサイズや形状をアクセスポート固有のものとすることで「区別可能な情報」との相関を達成できることが開示されているから、当業者は本件発明により課題を解決できると認識でき、サポート要件違反はないとして、審決のこの点に関する判断を誤りと認定した。 第二に、進歩性については、審決が引用例1と別個の添付文書である引用例2を組み合わせて単一の主引用発明を認定した手法は、新規性判断に進歩性判断を持ち込むもので特許法の趣旨に反し許されないとし、審決の主引用発明認定に誤りがあると指摘した。もっとも、引用例1に記載された発明(造影CTで自動注入器により加圧可能な東レ製アクセスポート)を正しく認定した上で、本件優先日当時、心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、肝動脈注入ポンプ、人工乳房など人体に埋め込まれる各種医療機器において装置型番を示すX線不透過性の識別子を備えることは周知技術であったと認めた。そして、造影CT用の皮下埋込型アクセスポートもこれらと同一技術分野に属し、周知技術を適用することに阻害要因はないとして、当業者が引用発明に周知技術及び引用例2の記載を組み合わせて本件発明に容易に到達できたと判断した。 以上により、サポート要件及び主引用発明の認定に誤りはあるものの、進歩性欠如の結論自体は維持できるとして、審決取消請求を棄却した。本判決は、知財高裁が、別個独立の刊行物を合体させて主引用発明を認定する手法を明確に否定した点、及び埋込型医療機器における識別子技術の周知性を広い技術分野にわたり認定した点で、実務上の意義を持つ判決である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。