AI概要
【事案の概要】 本件は、インターネット上の違法漫画配信サイトに漫画雑誌の画像データをアップロードした行為について、著作権法違反(公衆送信権侵害)及び出版権侵害の罪に問われた事案です。被告人は、交際相手であるCと同棲していたところ、Cが平成29年3月からBの依頼を受け、さらに同年4月以降はAから請け負う形で、漫画海賊版サイト「M」の更新作業(他のウェブサイトからダウンロードした漫画画像を当該サイトにアップロードする作業)を継続的に行っていました。被告人自身も、Cとともに更新作業の説明を受けた上、Cが外出する用事があるときや複数の漫画雑誌が同日に発売されて一人で作業が間に合わないときなどに、Cから依頼を受けて画像データのアップロードを複数回行っていました。平成29年5月には、著作権者や出版権者の許諾を受けないまま、漫画「F」(G話)及び漫画「J」(K話)の画像データをサーバーに記録保存し、不特定多数のインターネット利用者が自動的に視聴できる状態に置いた行為が、本件で起訴されました。実際にサイトにアップロードしたのはCでしたが、その行為について被告人にも共謀共同正犯が成立するかが問題となりました。 【争点】 本件の争点は、漫画画像データの違法アップロードについて、被告人とCらとの間で共謀が成立するかという点にあります。弁護人は、被告人は実行行為を行っていない上、AやBとの間はもちろん、Cとの間でも具体的なやり取りが一切存在せず、共謀は認められないと主張し、無罪を訴えました。 【判旨(量刑)】 裁判所は、①被告人がCとともにBから更新作業について説明を受けていたこと、②被告人自身も複数回画像データのアップロードを行っていたこと、③Cが得た報酬が生活費として被告人にも還元されていたことなどの事実を認定し、被告人はCを含む共犯者らとの間で、漫画画像データを継続的に違法アップロードすることについて包括的な共謀を遂げていたと判断し、共謀共同正犯としての責任を肯定しました。その上で、本件は著作物の収益構造を破壊し、著作権等の保護制度を根本から揺るがせかねない悪質な犯行であり厳しい非難に値するとしつつも、被告人が従属的立場であったこと、謝罪の態度を示していること、二十代で前科がないこと、母親が監督を約束していることなどを酌むべき情状として考慮しました。また、この種犯罪が経済的に見合わないことを知らしめるために罰金刑の併科が相当であるとして、被告人を懲役1年2月及び罰金30万円(労役場留置1日5000円換算、3年間執行猶予)に処しました。