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下級裁

発信者情報開示請求事件

判決データ

事件番号
令和1ワ14218
事件名
発信者情報開示請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年12月11日

AI概要

【事案の概要】 本件は、不動産事業を営む株式会社(原告A)とその代表取締役(原告B)が、インターネット上の投稿サイト「マンションコミュニティ」に匿名で投稿された記事により名誉を毀損されたとして、発信者を特定するため、経由プロバイダである被告に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づき発信者情報の開示を求めた事案です。問題となった投稿は「不動産投資 Aってどうよ?」というスレッド内にされたもので、「クリスマス会、やるとおもってるんですか。社員もお金もないんですよ。やる余裕なんてありません(笑)」「そのくせ、なぜトップ二人はぶくぶくと太ってるんでしょうね。」という内容でした。 原告らは、氏名、住所、通常の電子メールアドレス(SMTP電子メールアドレス)に加え、SMS用電子メールアドレス(すなわち携帯電話番号)の開示も求めました。SMSは携帯電話同士で文章をやり取りするサービスで、送受信先の電子メールアドレスとして電話番号が機能します。本件の最大の特徴は、従来発信者情報開示の対象外とされてきた電話番号を、SMS用電子メールアドレスとして開示対象に含められるかが争われた点にあります。 【争点】 主たる争点は三つありました。第一に、本件投稿記事が原告らを指すものと認められるか(同定可能性)、第二に、権利侵害の明白性が認められるか、第三に、SMS用電子メールアドレス(電話番号)が平成14年総務省令3号にいう「発信者の電子メールアドレス」に含まれ、開示対象となるかです。 被告は、プロバイダ責任制限法4条1項を受けた平成14年総務省令は発信者情報を限定列挙しており、電話番号は含まれていないこと、総務省もプライバシーや通信の秘密の保護の観点から電話番号を発信者情報に含めない方針を一貫して示してきたこと、開示を認めれば国内電話番号の約76%が開示対象となり被害者救済と発信者の権利保護のバランスを失うことなどを主張しました。これに対し原告らは、プロバイダ責任制限法3条の2第2号が公職選挙法142条の3第3項を引用し、同項が特定電子メール法2条3号の電子メールアドレスを参照し、さらに平成21年総務省令2号が電話番号を用いる通信方式を電子メールと定めていることから、文理解釈上、電話番号は電子メールアドレスに該当すると主張しました。 【判旨】 東京地方裁判所は原告らの請求をすべて認容しました。まず同定可能性について、スレッドタイトルや「トップ二人」との記載から原告らに関する投稿と容易に推知できると認定。次に権利侵害の明白性については、「社員もお金もない」との記載は原告Aが経営に窮している印象を与え社会的評価を低下させるもので、「ぶくぶくと太っている」との記載は原告Bを含む役員の容姿を揶揄し名誉感情を侵害するものと判断しました。 最大の争点であるSMS用電子メールアドレスの開示可否について、裁判所は文理解釈上、SMSで用いられる電話番号は特定電子メール法が定義する「電子メールアドレス」に該当し、これを引用するプロバイダ責任制限法3条の2における「電子メールアドレス」にも該当すると判示しました。そして、同一法律内の同一用語は別段の定めがない限り統一的に解釈すべきとの原則から、プロバイダ責任制限法4条1項および平成14年総務省令3号の「電子メールアドレス」にもSMS用電子メールアドレスが含まれると解すべきとしました。総務省がプライバシー保護の観点から電話番号を開示対象外とする見解を示してきた経緯についても、SMS用電子メールアドレスのみを「電子メールアドレス」の定義から除外する十分な合理性は見いだし難いとして、条文の文理解釈を優先しました。電話番号が発信者情報として開示されるのは、あくまでSMS用電子メールアドレスとして利用される限りにおいてであり、限定列挙の趣旨にも反しないとしています。本判決は、SNSを介した匿名投稿による権利侵害事案で被害者の救済手段を実質的に拡大する先例として、発信者情報開示実務に重要な意義を持つものです。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。