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下級裁

損害賠償請求控訴事件

判決データ

事件番号
平成30ネ242
事件名
損害賠償請求控訴事件
裁判所
高松高等裁判所
裁判年月日
2019年12月12日
裁判種別・結果
棄却
原審裁判所
高知地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、1954年(昭和29年)にアメリカ合衆国がビキニ環礁付近で行った水爆実験(ビキニ核実験)により被ばくした漁船員やその遺族、支援者ら(控訴人ら)が、国(被控訴人)に対し、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償を求めた事件の控訴審判決である。第五福竜丸事件として広く知られる同実験では、マーシャル諸島周辺海域で操業していた多数の日本漁船が放射性降下物(死の灰)を浴び、厚生省の検査で延べ992隻の漁船から採取した魚が投棄される事態となった。 控訴人らは、国が被ばくの事実や関連資料(船舶検査記録、漁船員の血液・尿検査結果等)を2014年(平成26年)9月19日に情報公開請求で開示するまで約60年間にわたり隠匿し続け、被ばく者に対する追跡調査や生活支援等の施策も怠ったと主張した。その背景として、1955年(昭和30年)1月4日、日米両政府が第五福竜丸関係者への補償のみで政治決着を図り(日米合意)、それ以降、歴代内閣が被害の全体像を隠蔽する基本方針を維持したと指摘。被爆者健康手帳交付の拒否、教科書検定での記述削除、国会答弁での資料不存在の回答、高知県知事への開示拒否など多数の間接事実を挙げた。 請求は、主位的には被ばく漁船員の生命・健康を維持する権利侵害等、予備的には資料開示により国の違法行為を知った精神的損害を理由とし、漁船員や支援者1人につき200万円、遺族には法定相続分相当額の支払を求めた。原審(高知地裁)がこれらを棄却したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 最大の争点は、国が本件資料等を意図的に隠匿する意思・事実があったといえるか(争点1-1)であった。加えて、資料開示義務や被ばく者への調査・支援等の施策実施義務が憲法・法律・契約上認められるか、除斥期間の経過の有無も争われた。 【判旨】 高松高裁第4部(増田隆久裁判長)は、控訴をいずれも棄却した。 裁判所は、日米合意当時に米国関係者に核実験継続のため被害を抑え込みたいとの思惑があり、日本政府関係者にも補償対象外の被災が拡大的に知られることは望ましくないとの状況があったことは認めた。しかし、国に隠匿の意思や事実があったと認めるには多くの矛盾する事情があると指摘した。すなわち、第十三光栄丸の被害や貨物船被害は当時から報道されており既に公知であったこと、約60年という長期間にわたり所属政党を異にする多数の閣僚交代を経て隠匿の意思が引き継がれるとは現実的でないこと、本当に隠匿する意図があれば最も簡単な方法である文書廃棄を行うはずなのに本件資料が保管されていたこと、平成26年の開示時点でも「存在しない」として開示を拒むことも可能であったのに現に開示していること、外務省が平成3年に日米合意の裏の思惑を示す資料を自発的に公開していることなどを挙げた。 個別の間接事実についても、被災調査の打切りは放射線の人体影響に関する当時の知見に基づく評価であり他の目的はうかがえない、教科書検定では本件被ばくに最も関連する記述部分に修正意見が付されていない、国会答弁は「手持ち資料がない」と述べたにすぎず資料の存在を知りながら提出拒否したとは認められない、俊こつ丸による第二次調査が日米合意の約1年後の昭和31年に実施されていることは継続的隠匿の主張と矛盾するなど、いずれも隠匿の意思を推認させるものではないと判断した。 また、検査・検診契約に基づく報告・健康管理義務の主張については、対象者が検査に同意したことは推認できるものの、控訴人ら主張のような契約締結を認めるに足りる証拠はないとして退け、憲法・法律・契約のいずれからも資料開示義務・施策実施義務は認められず、国賠法上の違法行為も認められないと結論づけた。 本判決は、ビキニ被災を巡る長年の情報隠蔽疑惑を正面から審理しながらも、国の隠匿の意思を立証する的確な証拠がないとして国家賠償責任を否定したものであり、歴史的事件における国の情報管理責任を考える上で重要な判断を示した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。